米国のトランプ政権は2026年10月9日、国際刑事裁判所(ICC)本体を制裁対象に指定したと発表した。非加盟国の米軍人を訴追対象とすることに反発し、解体へ圧力を強めている。読者はこの国際司法をめぐる対立の行方をどう見るか。
トランプ政権がICC本体を制裁対象に指定
読売新聞が報じたところによると、米国のトランプ政権は9日午前(日本時間9日深夜)、国際刑事裁判所(ICC)本体を制裁対象に指定したと発表した。ノルウェーのノーベル賞委員会が同日、元ICC判事のナバネセム・ピレイ氏へのノーベル平和賞授与を発表した矢先の決定となった。国際司法の役割に光が当たる中、トランプ大統領は敵視するICCの解体に向けて一段と圧力を強めた格好だ。ルビオ国務長官は同日、声明を発表し、ICCを「ならず者」と非難した。その上で、「ICCの取引を禁止し、その資金源を断ち、活動能力を低下させる」と強調している。
米国による資金源断絶と世界金融からの締め出し
ルビオ国務長官の発表によると、今回の制裁はICCに対し米ドル建ての決済を禁止するとみられる。世界的な金融システムから締め出され、活動が大きく制限される可能性がある。米国はICCが、非加盟国の米国の軍人らを訴追の対象としていることを問題視してきた。ICCを「米国の主権に対する脅威」と一貫して批判している。ルビオ氏は「ICCが脅迫をやめるか、我々がICCを終わらせるかのどちらかだ。ICCを解体する取り組みを続ける」と強い語気で表明した。
同盟国に対するICC抑制の要請と日本への影響
ルビオ氏は自国の防衛を米軍に依存している同盟国に対し、ICCを抑制するよう求める考えを示した。特定の国名こそ避けたものの、日本や欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国などを念頭に置いたものとみられる。トランプ大統領自身も9月に行われた国連総会の一般討論演説で、ICCを「制御不能な組織」、「反米的な法廷」と厳しく非難していた。その上で、ICC加盟国に対して即時脱退を呼びかけていた経緯がある。
東海テレビが伝える赤根所長の素顔と法の支配
東海テレビの報道によれば、今年のノーベル平和賞の有力候補としてICCが挙がっており、名古屋市出身で70歳の赤根智子氏が2024年から日本人初の所長を務めている。ICCはオランダ・ハーグに本部を置く常設の裁判所である。これまでにロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相に逮捕状を出してきた。赤根所長は今年7月、トランプ政権から制裁を受ける直前に地元・名古屋で凱旋講演を行い、「世界において、不処罰をなくす」と法の支配への強い思いを語っていた。

制裁と解体圧力に対する赤根所長の反論と教え子らの動き
東海テレビの報道によると、米国から「全ての手段を用いてICCを解体する」と圧力がかかる中、赤根所長は「もし日本に裁判所がなくなったらどうでしょう。それが“ICCが世界から消えた時の世界”だ」と述べていた。また、同日、ICCは制裁決定を非難する声明を出した。赤根所長は「ICCは、独立性と客観性を保って任務を遂行し続ける」と強調している。一方、愛知県内の教え子や市民団体などは8月から制裁撤回などを求めて署名活動を展開し、オンラインを含めて17万4602筆の署名を今月1日に政府へ提出した。米国の制裁と国際司法機関の対立は今後も緊迫した展開が続く見通しだ。