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2025-02-12 00:00:00
- ドナルド・トランプ大統領は閣僚に対し、政府系ファンドの計画策定を命じた。
- 世界の政府系ファンドは大きく成長している。しかし、通常は国の余剰金を管理して運用するもので、アメリカは巨額の赤字を抱えている。
- トランプ大統領の命令は、アメリカにある国有資産が兆ドル規模であることに触れており、それは今後重要な兆候になるかもしれない。
2つの国の政府系ファンドを比べてみよう。一方の国は、電気自動車(EV)、ゲーム会社、スポーツチームへの派手な投資で知られている。さらに驚くような発言やパフォーマンスで注目を集め、自殺を考えたこともあると話した気まぐれな日本のテクノロジー投資家が運営するファンドにも資金を投じている。
もう一方の国の政府系ファンドは、大きな話題になることは少なく、地味な株式や債券への投資が中心だ。
この2つの政府系ファンドは、世界最大級の政府系ファンド、サウジアラビアのパブリック・インベストメント・ファンド(Public Investment Fund)とノルウェーのノルウェー中央銀行投資管理部門(Norges Bank Investment Management)のことだ。どちらも将来の繁栄のために自国の石油資産を元に投資を行い、収益を多角化することを目的としている。しかし両者の違いには、中東の肉料理シャワルマ(Shawarma)と、ノルウェーの魚料理ルートフィスク(Lutefisk)ほどの差がある。
では、アメリカの政府系ファンドはどのように運用されるのだろうか。
2025年2月3日、アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は、財務省と商務省に対してアメリカ独自の政府系ファンドの設立案を策定するように命じる大統領令を発表した。トランプ大統領がホワイトハウスを引き継いでから2週間で打ち出されたこの最新の命令は、強制送還の強化、対外援助の削減、多様性・公平性・包括性(Diversity, Equity, and Inclusion:DEI)の撤廃といった他の政策と比べると地味なものに思えるかもしれない。
それでもこの発表は、激しい議論と疑問を呼んでいる。まず最初の疑問は、「政府系ファンドとは何か」という点だ。
多くのアメリカ人にとって馴染みがあるものでいえば公的年金基金だろう。これは、教師や地方自治体の職員など公共部門で働く数百万人の退職年金を運用する仕組みだ。
政府系ファンドはこれと似ているが、国の資産を運用するという点が異なっている。また、年金基金は、将来支払う必要がある退職金(職員らの積み立てたお金)を投資するのに対し、政府系ファンドは、余剰資金を運用することが多い。その財源は主に天然資源、特に石油によるものが一般的だが、ダイヤモンド、さらには「ゴールデン・パスポート(Golden Passports)」と呼ばれる外国人にその国の市民権を販売する制度からの収益が使われることもある。
政府系ファンドは、政府提供の公共サービスなどの運営資金の供給、市民への支払い、予備費、または特定のインフラプロジェクトに使われることがある。石油が豊富なアラスカ州にはその仕組みがあり、アラスカの800億ドル(約12兆円)規模の政府系ファンドは、住民に毎年配当金を支払い、2024年には9億ドル(約1373億円)以上を支給している。
「政府系ファンド」という用語は2005年に初めて使われた用語で、定義は曖昧な部分もある。その資産の推定値には幅があるが、ここ20年で非常に影響力を持つようになった。2000年代初頭は数十のファンドが約1兆ドル(約152兆円)の資産を保有していたが、2024年には数百のファンドで最大13兆ドル(約1984兆円)に達する規模に成長している。
その基本的な考え方は分散投資だ。これは金融の中で最もシンプルでありながらも強力なコンセプトの一つで、さまざまな異なる投資に資産を分散して投じることで、経済危機や予期しない市場変動から資産を守り、より良い長期的なリターンを得る方法だ。
お金の出所とその投資先はその国によって異なる。数十億ドル(約数千億円)規模の小さなファンドは、ベンチャーキャピタルに投資するかもしれないが、数百億ドル(数兆円)規模のファンドにとっては、そのような投資だと影響が限られる。大規模なファンドは、プライベートエクイティやインフラプロジェクト(有料道路、エネルギー、データセンターなど)に投資する傾向があり、その期間は10年から15年の長期にわたることが多い。
規模の大きいファンドは、経済や市場、投資先に対して影響を与えるため、大きな利益を生み出す必要はない。それは「年利回りが1%から9%程度で、インフレ率を超える程度のリターンを目指すことが多い」とBCAリサーチ(BCA Research)のプライベートマーケットおよびオルタナティブ投資戦略担当チーフストラテジストであるブライアン・ペイン(Brian Payne)は話している。
「リターンの割合は低くなるが、複利効果によって資金の増加は膨大で、非常に影響力がある」と、年金ファンドや政府系ファンドを顧客に持つペインは話す。5%のリターンは、多くの人やウォール街の投資会社にとって大きな影響を与えないかもしれない。しかし、1000億ドル(約15兆円)規模の政府系ファンドにとっては、5%のリターンでも無視できない50億ドル(約7500億円)という額になるのだ。
アメリカが赤字にもかかわらず、政府系ファンドが現実的である理由
アメリカの政府系の投資ファンドに対する批判者は、アメリカが黒字ではなく、むしろ1兆ドル(約150兆円)の赤字を抱えていることを指摘する。これは、世界最大の政府系ファンドとは正反対の状況だ。黒字がない場合、ファンドの資金は借金を通じて調達するか、税金を引き上げるか、他の資金を転用する形になる可能性があり、いずれも議会の承認が必要となる。
トランプ大統領の命令は詳細には触れられていない。事実上、財務長官のスコット・ベッセント(Scott Bessent)と、まだ正式には承認されていない商務長官(トランプの指名はハワード・ラトニック(Howard Lutnick)でベッセント同様ウォール街の大物)に対し、次の90日間で具体的な計画を策定するよう命じたものだ。資金調達方法や管理方法、どのような投資が行われるのかなどの重要な要素が未定のままでは、この取り組みの慎重さや見通しを評価するのは難しい。
しかし、アメリカの政府系ファンドは余剰がなくても、負債を増やしたり税金を引き上げたりしなくても、実現可能でありうまくいく可能性がある。
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