ドナルド・トランプ大統領は月曜日、激しい批判を浴びた自身の政権の業績を称えるテレビ広告の費用について、今後は税金を投入せず、自身を支援するスーパーPACの資金を活用して支払っていく方針を明らかにした。メディア監視会社のアドインパクト(AdImpact)の推計によれば、火曜日の時点で、これらの一連の政府資金による放送には1,100万ドル以上の連邦資金が投じられていた。
11月3日の極めて重要な中間選挙を数週間後に控え、ホワイトハウスはアメリカ合衆国を称えるとするテレビ広告をプライムタイムなどで大々的に放送してきた。これらの映像には「アメリカ合衆国政府により支払い済み」というテロップが表示されていた。民主党および一部の共和党議員らは、トランプ大統領が自身の政治的宣伝に公金を利用しているとして強く反発した。
上院の野党指導者であるチャック・シューマー(Chuck Schumer)は上院本会議にて、これらの広告は「公共広告などでは決してなく、純粋なプロパガンダである」と厳しく非難した。
ホワイトハウスの弁護と広がる法律違反の指摘
ホワイトハウスは、過去の歴代政権も同様の公的メッセージキャンペーンを実施してきたと主張し、これらの広告は合法であり「パブリック・サービス・アナウンスメント(公共サービス広告)」であると弁護を続けてきた。ジョージ・W・ブッシュ政権や、オバマ政権によるアフォーダブル・ケア法(ACA)への登録推進キャンペーン、さらにはバイデン政権による新型コロナウイルスワクチンの接種奨励キャンペーンなどがその比較例として挙げられた。
これらの一連の広告制作および放送にあたっては、国土安全保障省(DHS)が「国別メディアキャンペーン」の実施を目的として、LMDエージェンシー(LMD Agency, Inc.)に対して2000万ドルの政府契約を授与したことが明らかにされている。法律の専門家や批評家からは、今回のトランプ政権による広告は2026年の中間選挙に影響を与えることを目的とした政治的メッセージであり、合衆国の法律に違反しているとの指摘が相次いだ。毎年議会が承認する年間予算案では、国内における広報や宣伝目的への公金の使用が明確に禁じられているほか、連邦職員の政治活動を制限するハッチ法や、国防総省・国土安全保障省などの関連予算の執行に関する規定に抵触するとの懸念が示された。

「これらの公共広告は明白にアメリカのものです。発表された広告は、キャンペーン広告とは明確に異なります。ドナルド・トランプ大統領は投票用紙に載っておらず、行動を促す呼びかけもありません。」
ホワイトハウスの声明(ABC、CBSなどの各メディア報道より)
共和党内からも上がった公費支出への異議
上院多数党院内総務のジョン・チューン(John Thune)は、メディアの取材に対してメッセージ自体は悪くないとしながらも、納税者のドルによって支払われるべきではないと率直な懸念を表明した。今回の公金を用いたテレビ広告をめぐっては、野党・民主党だけでなく、与党・共和党の内部からも異議の声が上がった。
上院議員のジョン・ケネディ(John Kennedy)は、CBSニュースの番組「フェイス・ザ・ネイション」に出演し、いかなる公職者であっても自分自身の個人的な広告に公費を使うべきではないという見解を示した。さらに、ノースカロライナ州選出のトム・ティリス(Thom Tillis)上院議員や、テキサス州選出のジョン・コーニン(John Cornyn)上院議員なども、公金の不適切な使用であると批判した。
「MAGA, Inc.」の資金への切り替え表明
批判の高まりを受け、トランプ大統領は月曜日に自身のソーシャルメディアや発表を通じて、今後は自身の政治団体である「MAGA, Inc.」が資金を集めて patriotic な広告の費用を自ら負担すると表明した。トランプは、極左勢力が自身のポジティブな広告展開に反発していると主張し、従来の手法から切り替えて自ら支払う決断を下したと説明した。
連邦選挙委員会(FEC)の開示資料によると、トランプ大統領を支援する「MAGA, Inc.」などのスーパーPACは巨額の政治資金を保有しているが、すでに放送された広告にかかった連邦資金の返還や、政治組織による今後の広告費用の具体的な支払い方法の詳細については明らかにされていない。

民主党による追加調査の要求
トランプ大統領が今後の広告費用を自身のスーパーPACの資金から拠出すると表明したものの、民主党の指導者らは追及の手を緩めていない。上院少数党院内総務のチャック・シューマーらは、政府の監視機関である政府説明責任局(GAO)および米特別顧問局(OSC)に対して書簡を送り、これまでにトランプの自己宣伝広告にどれだけの税金が使われたのか、その正確な金額の調査と解明を改めて求めている。