最新の予告編に登場する、ほぼ原型を留めないメイクとプロステティクスを施したトム・クルーズの姿が波紋を広げている。舞台演出でよく使われる回転プラットフォームのような装置の上にクルーズが立っているシーンや、背景の俳優たちが歌っているように口を動かしているカットが、ファンの間で「隠されたミュージカル」説を加速させた。
ネット上の「陰謀論」とVarietyによる否定
SNS上では、この作品が秘密のミュージカルであるという説が急速に広まった。著者であるジェイソン・パーギン(Jason Pargin)は、9月10日にX(旧Twitter)にて、「今、私が一番気に入っている陰謀論は、『Digger』が実はミュージカルであり、マーケティングにおいてそれを必死に隠そうとしているということだ」と綴っている。Nerdistの編集長であるロテム・ルサク(Rotem Rusak)は、この説を支持する42,000人の人々がいることに触れ、映像に見られる不自然なほど多いスイープカメラのアングル、大げさなジェスチャー、そして文字通りのスプリット(split)を証拠として挙げている。
一部のユーザーは、『スウィーニー・トッド』『ウォンカ』『ミーンガールズ』といった映画がマーケティング段階でミュージカル要素を隠していた例を指摘した。しかし、Varietyが制作に詳しい2人の情報源に確認したところ、『Digger』はミュージカル映画ではないことが判明した。情報源の2人は、インターネット上のこうした推測について「面白がっていた」という。
アレハンドロ・G・イニャリトゥが描く「アポカリプス・サタイア」
本作は、アレハンドロ・G・イニャリトゥ(Alejandro G. Iñárritu)監督による「風変わりでアポカリプス的なサタイア(風刺劇)」である。物語のあらすじは、「世界で最も権力を持つ男が、自らが引き起こした災厄がすべてを破壊する前に、自分が人類の救世主であることを証明するための狂乱のミッションに乗り出す」という内容となっている。
トム・クルーズが演じるのは、絶大な権力を持つ石油王のディガー・ロックウェル(Digger Rockwell)だ。Empire誌は、本作を「現代版の『博士の異常な愛情』のような作品」と評し、クルーズが映画『トロピック・サンダー』のレン・グロスマンのような不安定なエネルギーを体現していると記述している。また、法廷のシーンと思われる場面に回転床が登場するなど、演劇的な要素が強く、一部では「油断ならない石油王の行動を描いた劇についての映画である」というメタ的な構造を持つのではないかという推測も出ている。

脚本は、イニャリトゥ監督に加え、アレクサンダー・ディネラリス(Alexander Dinelaris)、ニコラス・ジャコボーネ(Nicolás Giacobone)、サビーナ・バーマン(Sabina Berman)が執筆し、ストーリーはジェズ・バターワース(Jez Butterworth)、バーマン、イニャリトゥの3名によるものである。製作はワーナー・ブラザース(Warner Bros.)とレジェンダリー・ピクチャーズ(Legendary Pictures)が手がけている。
トム・クルーズの役作りと制作アプローチ
本作は、クルーズにとって久々の非アクション映画であり、「未知への跳躍」となる最も大胆な役どころとされる。共演のリズ・アーメド(Riz Ahmed)は、撮影中に目の前にいるのがトム・クルーズであることを忘れるほどだったと語っている。キャストには、リズ・アーメドのほか、ジョン・グッドマン(John Goodman)、サンドラ・ヒュラー(Sandra Hüller)、マイケル・スタールバーグ(Michael Stuhlbarg)、そしてウィッグを着用したジェシー・プレモンス(Jesse Plemons)が名を連ねている。

クルーズはEmpireのインタビューで、イニャリトゥ監督が数日かけて脚本を音読してくれたことでプロジェクトに惹きつけられたと明かした。