テキサス州の連邦裁判所は2026年8月25日、未成年者の前でのドラッグパフォーマンスを制限する州法「上院法案第12(SB 12)」について、憲法違反であるとして再び無効化しました。デビッド・ヒットナー判事は、同法が表現の自由を侵害しており、過度に広範で曖昧であると厳しく批判しています。
テキサス州のドラッグ制限法に下された再びの違憲判決
テキサス州における公的なドラッグショーの規制を巡る法的な攻防において、連邦裁判所が再びアーティスト側の訴えを認めました。テキサス州南部地区連邦地裁のデビッド・ヒットナー判事は、2023年に成立した同州の法律であるSenate Bill 12(SB 12)について、憲法修正第1条に違反する無効な法令であると判断を下しました。この司法判断により、州当局による同法の執行は差し止められています。
同法を巡っては、法律の成立直後からコミュニティプライドグループやエンターテインメント団体、そしてパフォーマーのブリジット・バンディット氏らが原告となり、表現の自由の侵害を訴えて提訴していました。
控訴審からの差し戻しと裁判所の厳格な判断
今回の判決は、長年にわたる法廷闘争の最新の展開です。ヒットナー判事は2023年9月にも一度、同法を違憲として差し止めていました。しかし、連邦第5巡回区控訴院が2025年11月にその差し止めを解除し、米最高裁判所の近年の判例に基づいた再評価を行うよう具体的な指示を与えて事件を差し戻しました。

その控訴審の決定を受け、ケン・パクストン司法長官は一時的に同法の執行を再開させていましたが、今回の差し戻し審理においてヒットナー判事は改めて違憲性を断定しました。判事は、控訴審の判断によって前回の基本方針が覆されたわけではないと指摘し、州側からの新たな審理や証拠開示の請求を却下した上で、恒久的な差し止め命令を出しています。
ドリー・パルトンらの名前を挙げた広範すぎる定義への批判
判決の下された日は、偶然にもカントリー音楽界の伝説的な存在であるドリー・パルトン氏が80歳で死去した日と重なりました。ヒットナー判事は判決文の中でパルトン氏の名前を挙げ、彼女の派手な衣装や豊満な容姿、胸元の露出などを理由にかつて批判の目が向けられた歴史に触れながら、法律の定義の危うさを鋭く突いています。

エルヴィス・プレスリーの代名詞である腰の振りが多くの人々から批判され、男性のセクシュアリティの誇示として不快感を持たれたのと同様に、ドリー・パルトンはその豊かな髪、派手な服装、そして胸元の露出を理由に「官能的なセックスシンボル」として非難され、マイリー・サイラスは2013年のMTVビデオ・ミュージック・アワードのライブパフォーマンスで「トワーク」を行ったとして非難された。SB 12の下では、数え切れないほどの人々に愛される一般的なパフォーマンスの中にも、民事および刑事罰の対象となり得る「エロティックな要素」が数多く存在している。 デビッド・ヒットナー判事、連邦地方裁判所判決文より
さらに、ヒットナー判事は同法がカバーする範囲があまりにも広すぎるため、チアリーディング、ダンス、ライブ演劇といった日常的な大衆文化の営みまでもが処罰の対象になりかねないと懸念を示しました。常識的な判断基準が欠如しており、法的な禁止対象が一般人に明確に伝わらない構造的欠陥があると結論づけています。
当事者たちの反応と今後の見通し
一方で、司法長官室は子どもたちを守るための必要な措置であるとして法的な防衛を継続する姿勢を崩していません。州側による控訴手続きが進められる見通しであり、事件は再び第5巡回区控訴院の壇上へと戻ることになります。

ヒットナー判事は判決の締めくくりにおいて、自身のパフォーマンスに反発を覚える人々に対して次のようなシンプルな考え方を提示しました。
最終的に、この裁判で描かれているような活動に不快感を覚える人々にとって、解決策は比較的単純だ……単に行かなければいい。 デビッド・ヒットナー判事、判決文における助言