科学&テクノロジー

スパシエックスのスターシップがエンジンをタイムリーにしなかった

7月 17, 2026 / nipponese
打ち上げ直前の自動停止:第13回試験飛行の詳細

打ち上げ直前の自動停止:第13回試験飛行の詳細

7月16日、テキサス州のスペースXの宇宙港「スターベース」において、第13回となるスターシップの試験飛行が試みられた。現地時間の午後5時45分(東部夏時間午後6時45分)、カウントダウンは順調に進み、1,150万ポンド以上の液体メタンと液体酸素が充填された。しかし、スーパーヘビー・ブースターのエンジン始動シーケンスにおいて、搭載された33基のラプターエンジンのうち、一部が点火しなかったことでコンピュータが自動的に打ち上げを中止(アボート)した。

打ち上げ直前の自動停止:第13回試験飛行の詳細
Photo: Teslarati

イーロン・マスク氏とダン・ヒュート氏が報告したラプターエンジンの点火不具合

オンスクリーンに表示されたテレメトリデータによると、スーパーヘビー・ブースターのエンジン4基が計画通りに点火しなかったことが確認された。スペースXの創業者イーロン・マスク氏は、このエンジン問題が打ち上げ中止のトリガーになったと述べている。スペースXのダン・ヒュート氏は、同社の打ち上げウェブキャストの中で「ブースターが点火しようとした際に何がアボートを引き起こしたのかを時間をかけて調査し、今後の進め方を判断する」と語った。

Flight 13で試行されたV3スターシップとスターリンクV3衛星の展開

今回のFlight 13は、第3世代となる「V3」スターシップおよびスーパーヘビー車両を用いた2回目の打ち上げ試験であった。このミッションには、次世代のスターリンクV3衛星の初展開という野心的な目的が含まれていた。スペースXは「Fail fast, learn faster(早く失敗し、より早く学ぶ)」という哲学を掲げており、前回のFlight 12で発生した異常に対処し、再利用性とペイロード能力を向上させるためのハードウェアおよびソフトウェアの修正を行っていた。

Flight 13で試行されたV3スターシップとスターリンクV3衛星の展開
Photo: Space

打ち上げ中止を受けて下落したスペースXの株価と今後の再利用試験

今回のFlight 13に向け、スペースXは過去2週間にわたるエンジン試験を実施し、上段の「Ship」に搭載された6基のラプター3エンジン、および「スーパーヘビー」1段目に搭載された33基のラプター3エンジンすべての点火テストを完了させていた。しかし、7月16日の本番では、打ち上げの1秒未満前にコンピュータが停止信号を送る結果となった。

打ち上げ中止を受けて下落したスペースXの株価と今後の再利用試験
Photo: arstechnica.com

この打ち上げ失敗を受け、市場でも反応が見られた。スペースXの株価は、打ち上げ中止が発表された木曜日の引け後、同社のIPO価格を初めて下回る水準で取引を終え、その後も下落した。この19%の株価下落に対し、アナリストの間では買いの機会であるかどうかの議論が交わされている。

スペースXの次世代スターシップを巡っては、過去の試験飛行において、上段が水面上で数秒間ホバリングした後に波間に落下し、爆発するという事象が確認されている。スペースXのコメンテーターであるケイト・タイス氏は、当時の上段の爆発について「奇妙に聞こえるかもしれないが、あの火の玉はまさに我々が見たかったものだ」と述べている。同社は今後、打ち上げ、上昇、ステージ分離、ブーストバック燃焼、そして海上での着陸燃焼をトラブルなく実行することを目指している。