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2024-12-06 01:15:00
日本企業を含む様々なPCメーカーがAI PCを展開している。
撮影:小林優多郎
2024年、家電量販店や各種ECサイトのPC売り場では必ず「AI PC」という名前を見るようになった。
AI PCという単語自体はPCメーカーや半導体メーカーなどによってさまざまな定義がある。
例えば半導体大手のインテルは、2023年に発表し、同年12月から商品展開したノートPC向けCPUの新ブランド「Core Ultraプロセッサー シリーズ1」(コードネーム:Meteor Lake)から、本格的に「AI PC=AIが使えるPC」としてのアプローチを強めている。
インテルやPCメーカー、Windowsを開発するマイクロソフト、各種ソフトウェア開発企業の例を見ながら「AIが使えるPC」の未来を少し考えてみよう。
「AI PC」は「PC」とは違うのか?

9月の「Core Ultra シリーズ2」発表時の様子。
撮影:中山智
AI PCと言えど、これまでのPCとの違いは実はそこまで大きくない。
あえて違いを言うのであれば、ノートPCにおいては、心臓部であるチップセットにNPUというAI処理に特化したチップが内蔵され始めた。
また、現状このNPU内蔵チップセットを搭載したノートPCの多くはプレミアムモデルであり、価格の高い商品が多い。
前述のインテルの場合、すでに2024年9月から「Core Ultraプロセッサー シリーズ2」(コードネーム:Lunar Lake)を展開しているため、シリーズ1は少し価格が落ちてきている状況だ。
だが、インテルを含め各社AI PCにはある程度スペックを求めているため、お手頃なAI PCは珍しい存在になっている。
各社のAI PCに関する基準
- インテルのAI PC:Core Ultraプロセッサー シリーズ1以降を搭載するモデル。
- マイクロソフトのAI PC(副操縦士+PC):40TOPS※以上のNPUを搭載したプロセッサー、16GB以上のメインメモリー、256GB以上のストレージを搭載したモデル。
- HPの次世代AI PCシリーズ:40TOPS以上の性能を持つモデル。
※TOPS:Tera Operations Per Secondの略。1秒間に実行できる正数演算の数。1TOPSだと1兆回。
比べてみるとバラバラで、使える機能などにも差があるが、共通しているのはNPU搭載などを中心に「日常づかい以上の性能を持ち、AI処理にも特化したPC」という点になる。
AI PCは端末上とクラウドを使い分ける

比較的最近発売されたWindowsノートPCには「Copilotキー」がついており、マイクロソフトのAI「Copilot」を瞬時に呼び出せる。
撮影:小林優多郎
AI PCはいずれも性能的には「高性能なPC」なため、これまでのPCでできることは大体快適に動作する。
市場にはこれまでと違うArmアーキテクチャのチップセットを採用したAI PCも出てきているが、前述のCore Ultraシリーズのようなx86アーキテクチャのAI PCであれば、より「これまでどおり」に動作する。
気になるのは「これまで以上」、つまりAIで何ができるかという部分だ。
AIを活用したOSやソフトの新機能は次々と出てきているが、大きく2種類に分けることができる。

例えば「ChatGPT」はクラウドで動くAIだ。
出典:OpenAI
1つは「クラウドAI」で、これはその名の通りクラウドで実行するAI機能だ。データをアップロードする必要があるが、最新のAIエンジン(LLMなど)を、様々なスペックの端末で利用できる。
AIチャットサービスで言うとマイクロソフトの「Copilot」や、OpenAIの「ChatGPT」、グーグルの「Gemini」がこのクラウド型AIに当たる。

NPU搭載PCで使えるWindowsの機能である「Windows Studio Effects」もエッジAI機能の1つ。
撮影:小林優多郎
もう1つが「エッジAI」(オンデバイスAI)だ。エッジ=端と言うことで、端末側でAI処理を行う。
ノートPCでは処理能力の問題でクラウドAIより性能は劣る場合が多いが、「ネット接続が入らない」「応答速度が速い」「サブスクのようなコストがかかりにくい」という利点が挙げられる。
NPUなどを持つAI PCはまさに後者のエッジAIの活用を念頭に置いている。
もちろんOSの機能としてCopilotなどのクラウドAIも利用できる。この辺りは実行したい内容の機密性や、必要な処理能力に応じて使い分けていく形になる。
徐々に増え始めているエッジAI機能

Core Ultraシリーズを搭載したWindows PCの場合、タスクマネージャーには「NPU」の項目がある。エッジAI機能のいくつかはこの欄が動くことで、NPUが活用されていることがわかる。
撮影:小林優多郎
エッジAIに関する機能は「各社が開発を進めている段階で少しずつ利用可能になっている」と言うのが2024年12月の現状だ。
例えばCopilot+PC端末で使えるAI機能の場合、ペイントの下書きを元に絵を描ける「コクリエーター」や、「ライブキャプション」などはArm向けには展開済みだが、x86アーキテクチャ向けのアップデートは少し時間がかかっているようだ。

インテルが提供するAI Playgroundの バージョン1.21bで、マイクロソフトの小型AIモデル「Phi-3-mini-4k-instruct」を動かしたところ。日本語には非対応だが、出力を頼むと出てくることも。
画像:筆者によるスクリーンショット
一方で、インテル自身やソフトウェアメーカーは徐々にユーザー向けにAI機能の展開をはじめている。
例えばインテルは「AI Playground」と言う体験アプリを展開している。AI Playgroundはチャット型AIと対話できる「ANSWER」や、画像生成する「CREATE」、元ある画像の解像度を上げる「ENHANCE」などの機能を持つ。
いずれもNPUではなくGPUの処理性能をメインに使うが、オフラインでも動く点や処理スピードは少し先の未来を手軽に体験できるような品質に仕上がっている。

AI動画編集機能に対応している「PowerDirector」。
出典:サイバーリンク
他にも、ソフトウェアメーカーとの取り組みの成果もいくつかすでに実用段階に入っているケースがある。
例えば、映像系ソフトを手がける台湾のサイバーリンクは12月4日、同社の動画編集ソフトウェア「PowerDirector」においてオンデバイスAI動画フレーム補間機能を発表。
この機能はインテルの提供する「Intel Video Processing Library」を活用しており、24や30fpsの動画を120fpsの動画に変換できる。
メーカー独自のAI機能も今後登場か

Lenovo AI Nowのデモ。機内モードにしたPCで、PowerPointファイルを読み込ませたAIとチャットをしている様子。
撮影:小林優多郎
また、PCメーカーも各社独自の取り組みをしている。
PCメーカー大手の中国・レノボは11月26日に開催した「Lenovo Tech World Japan ‘24」で、様々な取り組みを紹介。
10月にアメリカで発表したAIアプリ「Lenovo AI Now」のデモを日本で初めて披露し、エッジAIが実現するスピーディーでセキュアなAI体験をアピールした。

レノボ・ジャパンの檜山太郎社長。
撮影:小林優多郎
ただ残念ながら、Lenovo AI Nowについては実はまだ日本語に対応しておらず、日本のユーザーは利用できず、対応・提供時期も未定となっている。
Lenovo Tech World Japan ‘24に登壇したレノボ・ジャパンの檜山太郎社長は、Tech Insiderの取材に対し「(日本語への対応)状況を見ながら、(品質的に)大丈夫だという段階で提供したい」と将来の提供への意欲を見せた。
また同席していたレノボのAI CoE、ソリューション・サービス・グループアジア太平洋代表のアミス・パラメシュワラ(Amith Parameshwara)氏も「日本のお客様をサポートしたいと思っている。複数のパートナーと検討を進めている」と語った。
AI機能はハードとソフト両側面の対応が必須となる。2024年は対応するハードウェアの新製品が出たある意味で「準備」の年だったが、2025年は様々な活用例の出てくる「応用」の年になることを期待したい。
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