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2025-09-05 23:00:00
- ゴールドマン・サックスのアルムナイ(退職者)ネットワークは、同社の投資銀行部門で共同会長を務めるアリソン・マス氏のもとでテコ入れが図られている。
- マス氏は、同社を去った元幹部たちとの関係を強化するために、新たなシステムや特典を導入してきた。
- ロンドンで開催されるメンバー限定の夕食会から、人材仲介サービスまで、強力な人脈のハブとして機能するこの「同窓会」について、マス氏や当事者にその実態を聞いた。
ゴールドマン・サックスの幹部は、たとえ退職したとしても、完全に会社との縁が切れることはない。確かに、新たな役職に就いたり、転居したり、完全に違う業界に軸足を移したりすることはあるかもしれない。それでも元幹部たちは、かつて所属していたウォール街の大手投資銀行である同社と、緊密な関係を維持するケースが多い。さらにはゴールドマンの側も、「卒業生」との関係を維持したいと考えている。
そして今、ゴールドマンはこうした関係のフル活用に乗り出している。そのため同社は、アルムナイ(退職者)ネットワークを刷新し、元従業員とのつながりを公式に組織化し、強化している。
ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモン(David Solomon)最高経営責任者(CEO)とジョン・ウォルドロン(John Waldron)社長は2022年末、同社の投資銀行部門で共同会長を務めるアリソン・マス(Alison Mass)氏に対して、アルムナイ・グループを統括するよう依頼した。
それからというもの、企業の合併や買収を手掛けるディールメーカーとして豊富な経験を持つマス氏は、アルムナイ・グループを、毎月届くニュースレターでつながった半公式のネットワークから、ウォール街でも有数なメンバー限定の組織へと変貌させ、最高クラスの役職の紹介や、エリート層限定イベントの開催を行なってきた。
Business Insiderは今回、マス氏と、ゴールドマンに現在、あるいは過去に在籍していた計5名(その中には、退職時に、誰もが憧れる役職であるパートナーの座に就いていた者もいる)から、刷新後のアルムナイ・グループの内情について聞いた。メンバーに与えられる豪華な特典から、この刷新がゴールドマンに及ぼしたメリットまで、その内容は多岐にわたる。
世界に広がる、ゴールドマン・サックス「同窓生」の人脈
ゴールドマン・サックスがアルムナイを対象とした連絡局「Office of Alumni Engagement」を立ち上げたのは2005年のことだった。この連絡局は専属チームとして、全世界で11万5000人に上る同社の元従業員の交流を担い、イベントの企画や、アルムナイのキャリアパスの追跡などを行なってきた。
元従業員は全員、退職時に自動的にメンバーの地位を与えられるが、最高ランクの特典が与えられるのは常に、最上位のメンバー、すなわち在籍時にパートナーだった人たちだ。この資格を持つ退職者は1000人以上を数えるという。

ゴールドマンが、自社の元幹部と緊密な関係を維持しようとするのにはもっともな理由がある。元幹部たちは、同社を退職した後も高い地位に就いているケースが多いからだ。同社のアルムナイには、かつてカナダ銀行の総裁を務め、現在はカナダの首相を務めるマーク・カーニー(Mark Carney)氏や、金融大手バンク・オブ・ニューヨーク・メロン(BNYメロン)のロビン・ビンス(Robin Vince)CEOなどが名を連ねる。また、イギリスの首相を務めたリシ・スナク(Rishi Sunak)氏は2025年7月、シニアアドバイザーとしてゴールドマンに復帰を果たした。
ゴールドマンの最新データによると、同社のアルムナイ・ネットワークには、「Cスイート」と呼ばれる経営幹部レベルの重役が600人含まれている。そのうち250人以上が、評価額が10億ドルを超える、あるいは、管理する資産が50億ドルを超える企業のCEO、業務執行役員、あるいは創業者の地位にある。加えて、スポーツチームのオーナーやCEO、顧問を務める者も15人いる。
アルムナイと緊密な関係を維持することは、ゴールドマンにとってもビジネスチャンスの創出につながる。マス氏は、アルムナイ組織を統括する立場として、以前に、ある元パートナーと交わした会話を覚えている。この人物は、自身が所有する企業を売却したいと考えていたが、誰に声をかけるべきか決めかねていたという。そこでマス氏が仲立ちをし、2年後にゴールドマンが売買契約を成立させた。
アルムナイの側にもメリットがある。ちょうどアルムナイ・ネットワークの改革が進行中だった2022年にゴールドマンを退職し、現在は債権運用大手のTCWグループでCEOを務めるケイティ・コッチ(Katie Koch)氏は、現職元職を含めて、ゴールドマンのパートナーと話さない日はないと証言する。
話をする目的は、「自分の事業経営のため、あるいは誰か他の人の事業経営を助けるため」だとコッチ氏は述べ、「TCWの改革に関して、自分を補佐してもらうために、ゴールドマンから何人か人材も採用している」と付け加えた。

仕掛け人が語る、アルムナイ・ネットワーク刷新の概要
40年以上にわたって契約の締結や企業顧客の対応業務にあたってきた経験を持つマス氏は、有力者の扱い方を心得ている。そのことは、アルムナイ組織の運営手法にも現れている。
マス氏は、退職するパートナー全員と個人的に連絡を取り、退職から数カ月後に、1対1で話をする機会を持ちたいと伝えている。さらに同氏は、新たにパートナーになった従業員に対して、かつてその人物のメンターだった元パートナーからの手書きのメッセージを送るというプログラムの旗振り役も務めた。
このプログラムについて、業界をリードする人々が旧交を温め、アイデアを交換し、さらには契約の獲得につながる可能性もある場だと、マス氏はとらえている。
マス氏がテコ入れを図った中でも目玉としている特典の一つが、元従業員限定のジョブマーケットプレイスの創設だ。これは、退職者がメンバー向けの人材募集情報を投稿できる場で、アルムナイ・ネットワークが人材獲得市場において競争力を保つのに役立っている。
「誰もが(ゴールドマン在籍時代に)こうした人たちと働いている。彼らは友人関係にある」と、マス氏はBusiness Insiderとのインタビューで指摘した。
「メンターとして指導を受けた人や、自分がメンター役を務めた人、顧客がいる。しかも楽しい集まりだ」
さらにマス氏は、これまでも発行されていたニュースレターを刷新し、月ごとに違うアルムナイにスポットライトを当てる構成に変更した。また、メールによるやりとりの流れを円滑化し、パートナーに対しては、一般社員向けに話をし、メンターとしてのサポートを提供するよう促してきた。さらに、1年に2度、ロンドンとニューヨークで、パートナー向けの夕食会を開催する慣例を継続している。
現在もゴールドマンでバンカーとして辣腕を振るうマス氏は、自身の優れたビジネスセンスを、アルムナイ・ネットワークのプロジェクトにも活用している。同ネットワークの統括を任された際に、マス氏は、ジャレッド・コーエン(Jared Cohen)氏、ジャック・セバスチャン(Jack Sebastian)氏、サラ・ネイソンタラハノ(Sara Naison-Tarajano)氏といったトップクラスのパートナーからなるタスクフォースを招集し、グループの運営にあたらせた。
マス氏は、アルムナイ・グループの成果を測定するために目標を設け、さらに、アルムナイ・ネットワークを、ゴールドマンが掲げる「OneGS」戦略と一致させるよう取り組んだ。OneGSは、事業のさらなる発展とコラボレーションのために設けられた、全社的な取り組みだ。
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