ドイツでの友人との会話をきっかけに浮き彫りになった他者の容姿への言及やルッキズムをめぐる問題について、コラムニストのサンドラ・ヘフェリン氏が寄稿で指摘している。.
ドイツの友人から受けた「ルッキズム」の指摘
コラムニストのサンドラ・ヘフェリン氏がドイツを訪れた際、久しぶりに会った現地の女性友人Aさんとカフェで近況を報告し合ったと、大手小町(読売新聞)が報じている。共通の知人である活動的な女性Bさんについて「ヨガ中心の生活をしているせいか、体形がスレンダーで服も似合っていて素敵」と伝えたところ、Aさんから「ルッキズムに毒されている」「人を見た目で褒めるのはやめたほうがいい」とたしなめられたという。日本では久しぶりに会った人に「痩せたね」などと声をかけることがポジティブな善意のコミュニケーションとして受け入れられがちだが、ドイツでは状況が確実に変わっている。たとえ同性同士であっても容姿について気軽に口にすることは望ましいとはいえないという意識が広がりつつある。

女性作家が描く男性社会と容姿への期待
一方で、ドイツの人気ポッドキャスターで作家のSophie Passmann氏が著書「PICK ME GIRLS」の中で、女性が男性社会で生きる現実について赤裸々に綴っていると、大手小町(読売新聞)の報道で紹介されている。同氏は著書の中で「若い頃はセクハラされず、それが自分を不安にさせた」と明かし、男性がセクハラをしないのは女性をリスペクトしているからではなく、魅力を感じないから手間をかけないだけだと指摘した。その気づきからジムに通うようになり、30歳を目前にした今のほうが20代前半の頃より頻繁にセクハラに遭うと記している。これはセクハラを肯定するものではなく、男性社会で生きる女性が「容姿によって選ばれる女でありたい」と必然的に抱いてしまう切実な願望を言語化したものだと、ヘフェリン氏は分析している。
就職活動や日常に潜むルッキズムと美的感覚
女性が世間の期待に自身の容姿を合わせざるを得ない現実について、大手小町(読売新聞)は就職活動の現場などを例に挙げて伝えている。例えば就職活動では「女性は化粧をしているのが基本」という暗黙の了解が存在し、仮に化粧をしない選択をすれば人間関係や仕事に影響が出かねない。企業の上役の多くが男性である男性社会において、女性は「能力を認めてもらうために、まず容姿を認めてもらわなければいけない」という構造的なプレッシャーに直面している。また、化粧をしていない女性の顔に違和感を覚える現象についても、長年見慣れてきた化粧をした女性の顔が基準になってしまっているだけであり、我々の美的感覚は「慣れの産物」にすぎないという指摘がドイツのSNSなどで共感を集めている。

容姿への言及を控えることがもたらす社会の変化
公の場で活躍する女性の仕事能力よりも容姿にばかり注目が集まる現状について、大手小町(読売新聞)は警鐘を鳴らしている。女性の政治家、社長、キャスターなどに対して「きれい」「痩せた」「老けた」といった外見の要素ばかりを強調することは、該当する本人だけでなくすべての女性の生きづらさにつながる。ヘフェリン氏は、ルッキズムにあらがう第一歩として、ポジティブなものであれネガティブなものであれ、まずは他人の容姿についての発言を控えてみることを提案している。今後はこうした感覚が社会全体に浸透していくかどうかが、多くの人がより生きやすい環境を作るための重要な試金石となりそうだ。