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2024-05-19 06:00:00
マスコット/ゲッティイメージズ
- 臨床心理学の専門家で博士号を持つマシュー・ジョーンズ氏は、共同で起業・経営する創業者たちが、協力してさまざまな問題を乗り越える手助けをしている。
- ジョーンズ氏は、自身が目にしてきた事例から、リーダーが犯しがちな、コミュニケーションにまつわる問題行動を明かしてくれた。
- 同氏が挙げたNG行動には、「人の意図を勝手に憶測する」「パートナーや部下の話を聞かない」「価値観の大きな違いを見過ごす」といったものがある。
カウンセリングを必要としているのは、既婚カップルばかりではない。共同で起業・経営する創業者たちの中にも、「2人で受けるセラピー」に通っている者がいる。
マシュー・ジョーンズ(Matthew Jones)氏は臨床心理の専門家で、5年前から、共同創業者向けのコーチングにフォーカスした取り組みを始めている。そんなジョーンズ氏はBusiness Insiderに対し、相談者が自身のセラピーのドアを叩くのは多くの場合、「身近な人とともに、高ストレス・高プレッシャーの状況を乗り切ろうとして、複雑な心理状態に陥る」からだという。こうした状況の一つが、スタートアップ企業の経営だ。

マシュー・ジョーンズ氏
マシュー・ジョーンズ博士
ジョーンズ氏のもとを訪れる相談者の大半は、テクノロジー業界に身を置いており、変化の速いビジネス環境や不確実性への対処を迫られていることが多い。
「こうした状況でつくられる仕事仲間との絆は、うまく活用すればレジリエンス(回復力)を高め、お互いの距離を縮め、より良い意思決定に結びつく」とジョーンズ氏は指摘する。だが一方で、まったく逆の悪影響を及ぼすおそれもある。この場合は、「トップ同士の人間関係が、メンタルヘルスの悪化を招き、事業の業績にも影響を与えるようになる」という。
ジョーンズ氏は、自身が目にしてきた、ビジネスリーダーや共同創業者が犯しがちなコミュニケーション上の問題行動のうち、最も深刻なものを6つ挙げてくれた。意見の相違への対処法から、問題があったときに、取り返しがつかなくなるまで見て見ぬふりをする、といった行動まで、多岐にわたる。
1. ビジネスに使われる言語しか理解していない
ジョーンズ氏によれば、あらゆるビジネスチームが操る言語は、3つのタイプに分類できる。それは、機能的(operational)、心理的(psychological)、原型的(archetypal)の3つだ。
機能的言語は、「大半のチームが比較的うまくこなしている」言語だと、ジョーンズ氏は解説する。それは、こうした言語が仕事上のタスクと密接に結びついているからだ。これと比べて、心理的言語は慎重さを必要とするという。
「こちらはさらに熟考する必要があり、リソースを使う。話を聞く際にも、(機能的言語とは)異なるアプローチが必要だ」と、ジョーンズ氏は述べる。
最後に、原型的言語は、お互いの全体的な雰囲気に関わる言語だ。例えば、お互いに気を遣い合いながら探りを入れる場面などがこれにあたる。
ジョーンズ氏によれば、同氏のもとを訪れる相談者が抱える問題の大半で、上記の言語タイプのうち、後者の2つのタイプの言語をめぐるコミュニケーション不全が原因になっているという。なぜなら言語タイプは、リーダーが対立に対処したり、フィードバックを与えたりするやり方に影響を与えるからだ。
3つの言語タイプのすべてを操る能力は、重要なソフトスキルであり、心の知能指数(EQ)の高さを示すサインでもある。
2. パートナーや部下の話を聞く機会が足りない
リーダーが、常にチームメンバーの話を聞き、フィードバックを返していればいいが、そうでないと、次第に互いの間に亀裂が生じかねない。ジョーンズ氏はそう指摘する。ゆえに同氏は、週に一度、チーム内で情報共有ミーティングを開くように勧めている。
加えて、同氏が共同創業者に奨励するのは、毎月、あるいは四半期ごとに、率直な意見交換の機会を設けることだ。こうした面談では、「メタコミュニケーションや、お互いへの共感のありようを口に出して語ることに、はるかに多くの時間を割くことになる」という。
このような場で投げかけるべき質問としては、以下のようなものがある。「我々が話し合っていない事柄は何だろう?」「今後も成長を続けるにはどうしたら良いだろう?」
ジョーンズ氏は、「理想的には、お互いが『自分の意見を聞いてもらえた』『わかってもらえた』という思いを抱いて、意見交換を終えられることが望ましい」と述べる。
3. 憶測に基づいて判断する
「ネットを越えている(Crossing the net)」は、対人コミュニケーションをテーマとする、スタンフォード大学の人気講座で使われている用語だ。
ジョーンズ氏はこの用語について、「ネットのこちら側には、自分自身、自分の意図や内面がある」と解説する。ある人が、別の人の意図や、その人が感じていることについて憶測を始めた場合、それは「ネットを越えた」ことになるという。
ビジネスの場では、こうした越境行為は、「君(You)」を主語にした表現という形で現れることが多い、とジョーンズ氏は指摘した。例えば、「君はこのプロジェクトに無関心だ」「君は100%コミットしていない」といった具合だ。
健全なコミュニケーションにおいては、「私(I)」を主語にした表現が理想的だということは広く知られている。ジョーンズ氏によれば、一部の人は、こうした表現も詰問に変えてしまうという。例えば、「私は、君が敬意を欠いているように感じる」「私は、君がこれについて本気で取り組んでいないように感じる」といったような表現を使うのだ。
ジョーンズ氏は、人が自分以外の人の意図や価値観について、心の中にイメージを抱くのは自然なことだと補足した。ただし、人間関係を良い方向に導くには、こうしたイメージが「アップデートされていく必要がある」という。
4. 妥協せず、自分の意見への同意を求める
ジョーンズ氏によれば、カウンセリングを進めるなかで、共同創業者は「互いの違いが、それぞれを補う関係になっている」ことに気づき、その点を好意的に受け止めることが多いという。互いが、相手に欠けている部分を補い合っていることを理解し、この唯一無二のダイナミックな関係を強みとして評価するようになるのだ。
一方で、プレッシャーにさらされる状況では、こうした違いが顕在化するのは避けられない。そして一部の人は、中間にあるどこかで折り合いをつけることをせず、「そもそも相性が悪かった」というレッテルを貼って片付けてしまうだろうと、ジョーンズ氏は付け加えた。
同氏によれば、これは2つの理由で誤った考え方だという。第1に、成功する企業には多様な人材が必要だ。これは、幅広いスキルセットや視点を確保するために不可欠な要素だ。
第2に、「完璧な組み合わせなどというものは存在しない」とジョーンズ氏は指摘する。
「互いの相違点のなかには、長い時間をかけて、尊重し合いながら、うまく収めていくべきものもある」
片方の創業者が慎重なタイプで、もう1人の創業者が、迅速に行動し、慣習を打ち破りたいと思うタイプである場合もある。こうしたケースでは、2人に対して、2人が共同経営する企業にとっていちばん適切な結果を探すよう働きかけるとジョーンズ氏は語る。こうしたプロセスには、たいていの場合、互いの一致点を見いだすことが含まれるという。
5. 価値観における大きな違いを無視する
時には、2人の抱える問題が、妥協の余地のない相違点から生じている場合もある。ジョーンズ氏のもとを訪れていた、ある2人組の経営者の例では、片方の人物が「多様性、公平性、包摂性」を雇用慣行の基本原則とし、絶対に譲れないとしていたのに対し、もう片方は、採用においては「極めて迅速に動く」ことがより重要だと感じていた。
ジョーンズ氏との定期的なセッションによって、2人は互いのビジョンが相容れないことを悟り、より深い協働関係に入る前に、別々の道を行くことに決めた。
こうしたケースでは、それぞれの経営者、そして率いる企業にとっても、パートナー関係を終わらせるのがベストな行動だ、とジョーンズ氏は確信している。
6. 関係が悪化してから助けを求める
ジョーンズ氏が評価するのは、「自分の成長に価値を置く」相談者であり、問題が生じる前に同氏のもとを訪れる人たちだ。たいていの場合、こうした共同創業者は、プライベートでも、家族や親友といった関係にある。それゆえに、自分たちの関係が「単なるビジネス上のパートナーよりも少しだけ複雑」なことを理解しているという。
残念ながら、ジョーンズ氏が担当する相談者の中で、上記のようなタイプは、非常にまれだ。大半は、「深刻度はさまざまだが、何らかのいざこざを今まさに経験している」と、同氏は述べる。
問題が最高潮に達しているタイミングで解決の道を探ることも可能ではある。だが、アドバイスを求めるのであれば、できるだけ早い時期に相談するのが常に最良の方法だ、とジョーンズ氏はアドバイスする。そうすれば、より効率的に問題を解決でき、企業もより迅速に成長するという。
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