カルメロ・アンソニー テキサス 37歳の高校生を刺殺 35年禁錮
テキサス州コリン郡の陪審は2026年6月9日、2025年4月2日に高校の陸上競技大会で同年代の学生を刺殺したとして、カルメロ・アンソニー(19)に対し殺人罪で35年の禁錮刑を言い渡した。弁護側は「突発的な情熱」による犯行を主張したが、陪審はこれを退け、正当防衛の主張も否定した。 ## 殺人事件の経緯と法廷での審理 事件は2025年4月2日午前10時頃、フリスコ市のクヤンデール・スタジアムで開催された陸上競技大会の会場で発生した。当時17歳だったカルメロ・アンソニーは、被害者のオースティン・メトカーフ(17)とテントの場所を巡って口論となり、胸部をナイフで刺した。NBC 5 Dallas-Fort Worthによると、目撃者はアンソニーがバッグから黒いナイフを取り出し、メトカーフを刺して逃走したと証言している。 事件当時、両者は面識がなかった。アンソニーは警察の取り調べに対し、正当防衛を主張したが、検察側のビル・ウィルスケ検事はこれを「無意味な殺人」と断じ、裁判でも一貫して計画的な攻撃性を指摘した。FOX 4 News Dallas-Fort Worthが報じたところによれば、アンソニーは警察官から「容疑者」と呼ばれた際、「容疑者ではない、私がやった」と自ら犯行を認める発言をしていた。 ## 陪審による量刑判断と「突発的な情熱」の否定 コリン郡の陪審は、約3時間の評議を経てアンソニーに有罪判決を下した。KOMU 8の報道によると、弁護側は殺人罪の減刑につながる「突発的な情熱(sudden passion)」という法的な主張を試みたが、陪審員はこれを認めなかった。 「有罪の者に対する慈悲は、無実の者に対する残酷さである。」ビル・ウィルスケ検事(Collin County District Attorney's Office) 検察側は、アンソニーが被害者を挑発した上でナイフを取り出した点を強調し、正当防衛の成立を否定した。ウィルスケ検事は閉廷後の声明で、コミュニティにおける説明責任の重要性を訴えている。 ## 遺族の証言と事件が及ぼした社会的な波紋 この事件は、人種問題を巡るSNS上の過熱した議論により、全米の注目を集めた。アンソニーは黒人、被害者のメトカーフは白人であったが、検察および弁護側の双方が、この悲劇は人種とは無関係であると法廷で述べている。被害者の父ジェフ・メトカーフは、事件後も続く心無いネット上の投稿や、家族がターゲットとなった「スワッティング(虚偽の通報による警察の出動)」被害について怒りを露わにした。 FOX 4 News Dallas-Fort Worthの取材に対し、ジェフ・メトカーフは息子を「真の戦士」と呼び、人種対立を煽る動きを批判した。また、被害者の双子の兄弟であるハンター・メトカーフは、法廷でアンソニーに対し直接言葉を投げかけた。 「私はあなたに、目を合わせてほしいと頼んだ。あなたは私からすべてを奪った。私は毎朝、彼の部屋のドアが閉まったままの状態で目覚めるのだ。」ハンター・メトカーフ(被害者の双子の兄弟) ## 今後の展望とコミュニティの対応 判決言い渡し後、アンソニーは直ちに刑務所へ収監された。コリン郡地区検事のグレッグ・ウィリスは、この判決がコミュニティに明確なメッセージを送るものだと述べている。事件が発生した地区では、当日直ちに競技会が中止され、参加していた100名以上の学生たちは速やかに帰宅させられた。 メトカーフの遺族は、息子の死を悼む奨学金を設立しており、今後は静かな生活と息子の記憶を守ることに専念したい意向を示している。今回の司法判断により、事件を巡る法的なプロセスは一応の決着を見たが、被害者家族が直面したSNS上の誹謗中傷やスワッティング被害といった社会的な傷跡は、依然として地域社会に影を落としている。