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2024-09-11 22:30:00
イーロン・マスクはブラジルでのXの禁止について非難する一方、中国で2009年以降禁止されていることについては沈黙している。
ベアタ・ザウルゼル/NurPhoto/ゲッティイメージズ
- イーロン・マスクは、2024年8月末のブラジルでのXの利用禁止を受け、言論の自由を理由に同国を攻撃し続けている。
- だが、自称「言論の自由絶対主義者」であるマスクは、中国で長く続いているXの利用禁止については沈黙している。
- この2国に対する差は、テスラが中国に依存していることに関係しているのかもしれない。
イーロン・マスク(Elon Musk)の言論の自由に対する態度は、相手国によって異なるようだ。
2024年8月30日、ブラジルの最高裁判所がXの使用を禁止を決定して以来、億万長者のソーシャルメディアオーナーで、自称「言論の自由絶対主義者」であるマスクは、この動きに対する失望とそれが民主主義への脅威だと考えていることについて公の場で語ってきた。
「言論の自由は民主主義の基盤であり、ブラジルの選挙で選ばれていないニセ裁判官が、政治のためにそれを破壊している」と、ブラジルのアレクサンドル・デ・モラエス(Alexandre de Moraes)最高裁判事がXの利用禁止命令を出した後、マスクはXに投稿した。
ブラジルはXにとって5番目に大きな市場であるため、マスクがこの決定に激怒するのもビジネスの観点からは当然だ。マスクは約2年前に総額440億ドル(当時のレートで約6.5兆円)を投じて買収したX(旧Twitter)に投稿して、ユーザーを維持するための戦いを続けている。
そうは言っても、マスクの言論の自由絶対主義が、なぜ彼が深く関わっている別の国にまで及ばないのかを問う価値はあるだろう。
中国でマスクは五つ星の待遇でもてなされたり、最も影響力のある政財界のリーダーたちと面会する機会を与えられてきたが、同国は長い間、欧米のソーシャルメディアの使用を禁じている。そのひとつがXで、2009年から禁止されている。
中国政府は、天安門事件20周年のわずか数日前に、当時ツイッターだったこのアプリへのアクセスをブロックする措置を取った。当時、このアプリは意見を共有するプラットフォームを求めるネットユーザーの間で人気を集めていた。
この対照的な状況には理由がある。マスク帝国で最も重要な企業であるテスラ(Tesla)は、中国を味方につける必要があるのだ。
テスラのブラジルと中国の扱いの差

中国はテスラにとって最も重要な国際市場である。
VCG
テスラにとって中国がいかに重要かは明白だ。
この電気自動車メーカーは10年以上前の2013年に中国に最初の店舗をオープンした。6年後の2019年には上海でギガファクトリーの建設を開始した。その間に、テスラは中国をアメリカ以外で最も重要な市場へと変えている。
2023年の同社の売上高968億ドル(約14兆円)のうち、ほぼ4分の1にあたる217億ドル(約3兆2000億円)が中国からもたらされた。テスラの財務報告書では、中国は売上高の数字を独立した行で表す唯一の外国の市場だ。アメリカと中国以外の市場はすべて「その他の国際市場」に分類されている。
特にテスラがBYDなどの中国企業との競争激化に直面している時期に、マスクが中国で言論の自由の問題について発言してしまうと、より問題が難しくなる可能性が高い。
テスラは、2024年上半期には中国での売上が減少したと報告している。フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)が報じた上海のコンサルタント会社オートモビリティ(Automobility)のデータによると、テスラの中国における電気自動車の販売市場シェアは2024年1月から7月の間に6.5%に低下し、2023年同期の約9%減少した。
それに加え、中国はテスラにとってロボットタクシー構想を現実のものにするための重要な場となっている。2024年4月に予告なしにマスクが中国を訪問した後、彼が中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)と契約を結び、中国で自動運転車技術を展開する同社の取り組みを強化したとのニュースが報じられ、テスラの株価は15%以上急騰した。
その中国の訪問中、マスクはおそらく中国のネット規制・検閲システム「グレートファイアウォール(Great Firewall)」を回避するためにVPNを使ってXに投稿し、李強首相と会談できたことを「光栄に思う」と述べている。また、「我々はもう何年も知り合いであり、上海に訪れた初期の頃からの関係だ」と書き込んでいる。
一方、ブラジルはまだテスラの正式な市場となっていない。
ブラジルでは各地でテスラ車に乗っている人々の姿が見受けられるものの、テスラ車は通常、アメリカやヨーロッパから輸入されたものである。ブラジル国内に正規のディーラーは存在せず、南米で公式サイトに掲載されている国はチリだけだ。
「ブラジルはこれまで電気自動車にとって『比較的小規模な市場』であり、2023年にはプラグインEVがわずか5万台しか販売されない」とEV市場とサプライチェーンの調査会社、ベンチマーク・ミネラル・インテリジェンス(Benchmark Mineral Intelligence)の主席アナリスト、ルーク・ギア(Luke Gear)は話している。
とはいえ、ギアは同国の電気自動車市場は「急速に成長し」しており、2024年6月には2023年の5万台を超える販売台数を記録したとBusiness Insiderに語っている。また成長の要因は「BYDによる低価格の輸入車」だと付け加えた。
ブラジルのジャイール・ボルソナーロ(Jair Bolsonaro)大統領は2020年、テスラを自国に誘致する機会が当時のアメリカ訪問の議題に含まれていると述べていた。
その2年後の2022年5月、ボルソナーロ大統領はマスクと会談した。当時、マスクはツイッター買収の準備を進めており、ボルソナーロはこの動きを「希望の息吹」と話したとロイター通信は報じている。しかし、テスラをブラジルに誘致する取引はこの時には実現しなかった。
かつて中国外務省に勤務し、現在はオーストラリア在住の政治評論家である 杨涵 (ハン・ヤン)は、2024年9月、習近平が中国でXを禁止したことにも触れた。彼は、マスクは「言論の自由の擁護者を装っているが、中国の指導者である習近平に対しては一度も異議を唱えたことがない」とXに投稿している。
テスラが中国に依存し続ける限り、マスクにとって言論の自由は絶対的なものには程遠いもののようだ。
Business InsiderはXにコメントを求めたが、回答は得られていない。
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