インドネシア当局は、モハマド・サブチ・アザル・ツァニ受刑者を刑務所に再収監した。BBCの調査により、同受刑者の秘密裏の早期釈放が明らかになったためである。2022年に女子学生への性的暴行罪で有罪判決を受けた同受刑者は、言い渡された禁錮7年の半分も服役していなかったが、2025年8月に突如として行われた仮釈放が世論の激しい反発と政府による調査を引き起こしていた。
受刑者の再収監に至る経緯
インドネシアにおいて、東ジャワ州の著名なイスラム寄宿学校で生徒に性的暴行を加えた罪で有罪判決を受けた元教師が、再び収監された。
モチャマド・スブチ・アザル・ツァニ(通称ベチ)は2022年、懲役7年の実刑判決を言い渡されたが、2025年8月にひそかに仮釈放されていたことが調査で判明した。
被害を受けた女性には、法律上の権利があるにもかかわらず、その情報が一切知らされていなかった。
この早期釈放の発覚は社会的な怒りを呼び起こし、国会議員らによる調査要求に発展した。
政府による総合的な見直しの結果、手続き上の「誤り」が見つかり、仮釈放が取り消されることになった。移民・矯正省のアグス・アンドリアント大臣は、仮釈放の承認に関与した責任者について「確実に処分を受ける」と述べたうえで、「こうした過ちや不規則性が再び起きないようにしたい」と強調している。
被害者による過酷な告発
かつてベチの裁判で証言した元生徒のイラ・プスピタサリは、今回の政府の決定について、自身が受けた被害の正当性が認められたものだと受け止めている。
匿名を解除したイラは、15歳からの4年以上にわたりベチからレイプや性的虐待を受けたと訴えた。
私は奴隷のように扱われました。監禁され、レイプされ、暴行を受けました。
イラ・プスピタサリ、被害者
彼女は逃げ出そうとしたものの、ベチの私設警備員に連れ戻され、人里離れた小屋で拷問と性的暴行を受けたと語った。
警察に通報したものの、被害届を取り下げるよう脅迫を受けたといい、ベチの母親から「何事もなかった」と述べるよう促された音声記録も存在している。
また別の元生徒であるアユも裁判で証言を行っており、被害者らは釈放の事実を報道で初めて知ったと証言している。
宗教指導者の背景と政治的文脈
ベチは、東ジャワ州ジョンバンにあるシッディキヤ・イスラム寄宿学校の創設者である有力なイスラム聖職者ムハンマド・ムフタル・ムティの息子である。
2022年の逮捕時には、学校の敷地内に約1,000人の機動隊が投入され、15時間に及ぶ包囲戦となった。
支持者らが警察の侵入を防ぐために押し寄せ、学校を守る構えを見せていた。
裁判では検察側が懲役16年を求刑したものの、裁判所はレイプの罪については無罪とし、1人の生徒に対するより軽微な性的暴行の罪で有罪を下した。
当時、ジョコ・ウィドド大統領が介入して学校の存続を認めた経緯もあるが、宗教教育機関における性的暴力は現在「緊急事態」にあるとナショナル・コミッションが警告を発している。
宗教指導者の強大な権力が、学校に対する監視や責任追及を阻んでいるという指摘がなされている。
今後の国会での監視体制
今回の政府による再収監の決定を受け、被害女性は安堵の涙を流している。「これが誰にも起こらないこと、そして今後インドネシアで法が公正に適用されることを祈る」と、匿名を希望した元生徒は語っている。
一連の報道を受けて開かれた国会の公聴会では、教育機関における性的虐待への国の対応が議論された。
教育機関の被害者を代理する弁護士のジョコ・ジュマディは、強力なフォロワーを持つ影響力のある宗教指導者が関わる場合、当局が調査に消極的になりがちであると指摘した。
モチャマド・スブチ・アザル・ツァニは2022年に懲役7年の実刑判決を言い渡されていた。