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イトモス研究所の小倉健一氏が、台湾新幹線とインドネシア高速鉄道の利便性や財務状況の違いをレポート

台湾新幹線と中国式インフラを導入したインドネシアの高速鉄道「Whoosh」について、イトモス研究所の小倉健一所長がダイヤモンド・オンラインやプレジデントオンラインなどの記事でそれぞれの利便性や財務状況の違いをレポートしている。日本の技術をベースにする台湾と中国案を採用したインドネシアの間には、駅のアクセスや事業資金の調達面で大きな差が生じている。 台北駅から直接乗れる台湾新幹線の高い利便性と歴史 台湾を訪れた小倉健一氏が乗車した台湾新幹線(台湾高鐵)は、日本の東海道新幹線で活躍した700系をベースにした「700T型」が運行されている。首都のハブ駅である台北駅から発車し、台湾西側の主要都市を南北に貫いて左営(高雄)までを結んでいる。普通車の座席配置は日本と同じ「2列+3列」の横5席であり、空気感も乗り心地も東海道新幹線と変わらない環境が整っている。さらに今後はJR東海の最新型「N700S」をベースにした新型車両の導入も予定されており、2027年頃の営業運転開始が見込まれているとダイヤモンド・オンラインが報じている。 インドネシアの高速鉄道Whooshが直面する深刻な資金難 一方、中国の技術を導入して東南アジア初の高速鉄道として開業したインドネシアの「Whoosh」は、深刻な資金難に陥っているとプレジデントオンラインなどが伝えている。ジャカルタ側の発着駅は市中心部から離れたハリム駅であり、台北駅から直接乗れる台湾新幹線とは利便性が異なる。事業費の75%は中国開発銀行からの融資で賄われたが、運賃収入が伸びず中国からの借り入れに対する利払いや巨額の債務返済に苦しんでいる。当初は国家予算の投入や政府保証は不要とされていたものの、建設費の膨張に伴いジョコ・ウィドド前大統領は方針を転換し、事実上の公的救済に乗り出さざるを得なくなった。 写真:PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 運賃体系の比較と現地生活における実感の違い ダイヤモンド・オンラインの報道によると、距離あたりの運賃を日本円に換算すると台湾とインドネシアの水準は同程度に見える。しかし、経済的な豊かさの目安となる2025年の1人当たり名目GDPには、台湾の約3万9500米ドルに対してインドネシアは約5100米ドルと約7.8倍の開きがある。そのため、円換算した金額が同じであっても現地の人にとっての手頃さには違いが生じる。台湾新幹線では台北駅で買い求めた「台鉄弁当」を車内で味わうなど、市民の日常の足として快適な移動が定着している。 汚職疑惑や長期化する債務返済などインフラ輸出が残した教訓 インドネシアのWhooshを巡っては財務上の問題だけでなく、インドネシアの汚職撲滅委員会(KPK)が土地収用を巡る不正疑惑の予備調査を進めている。国有地が政府に転売され価格が水増しされていた疑いが浮上しているほか、サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によれば政府は債務返済を財務省側に移す準備を進めており、期間80年、年間約1兆ルピアに及ぶ返済案が示されている。日本が2015年の競争入札で金利0.1%の低利な円借款を提示したのに対し、「国家保証を求めない」という条件の中国案を採用した結果として、多額のツケが残る形となった。 写真:Yahoo!ファイナンス 今後の事業運営と東南アジアにおけるインフラの行方 台湾新幹線もかつては財務難を経験したものの、2015年には政府系の出資を伴う財務再建を行い、現在は安くて便利で安心な市民の足として定着している。これに対し、習近平政権の「一帯一路」戦略の代表的事業であるWhooshは、移動時間を大きく短縮した一方で、甘い需要予測に基づいた投資計画の代償として巨額の債務や不正疑惑の解明という課題を抱えたまま、運営体制の立て直しを迫られている。

日本の700系新幹線をベースに開発された台湾新幹線の「700T」 Photo by Kenichi Ogura

台湾新幹線と中国式インフラを導入したインドネシアの高速鉄道「Whoosh」について、イトモス研究所の小倉健一所長がダイヤモンド・オンラインやプレジデントオンラインなどの記事でそれぞれの利便性や財務状況の違いをレポートしている。日本の技術をベースにする台湾と中国案を採用したインドネシアの間には、駅のアクセスや事業資金の調達面で大きな差が生じている。

台北駅から直接乗れる台湾新幹線の高い利便性と歴史

台湾を訪れた小倉健一氏が乗車した台湾新幹線(台湾高鐵)は、日本の東海道新幹線で活躍した700系をベースにした「700T型」が運行されている。首都のハブ駅である台北駅から発車し、台湾西側の主要都市を南北に貫いて左営(高雄)までを結んでいる。普通車の座席配置は日本と同じ「2列+3列」の横5席であり、空気感も乗り心地も東海道新幹線と変わらない環境が整っている。さらに今後はJR東海の最新型「N700S」をベースにした新型車両の導入も予定されており、2027年頃の営業運転開始が見込まれているとダイヤモンド・オンラインが報じている。

インドネシアの高速鉄道Whooshが直面する深刻な資金難

一方、中国の技術を導入して東南アジア初の高速鉄道として開業したインドネシアの「Whoosh」は、深刻な資金難に陥っているとプレジデントオンラインなどが伝えている。ジャカルタ側の発着駅は市中心部から離れたハリム駅であり、台北駅から直接乗れる台湾新幹線とは利便性が異なる。事業費の75%は中国開発銀行からの融資で賄われたが、運賃収入が伸びず中国からの借り入れに対する利払いや巨額の債務返済に苦しんでいる。当初は国家予算の投入や政府保証は不要とされていたものの、建設費の膨張に伴いジョコ・ウィドド前大統領は方針を転換し、事実上の公的救済に乗り出さざるを得なくなった。

イトモス研究所の小倉健一氏が、台湾新幹線とインドネシア高速鉄道の利便性や財務状況の違いをレポート
写真:PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

運賃体系の比較と現地生活における実感の違い

ダイヤモンド・オンラインの報道によると、距離あたりの運賃を日本円に換算すると台湾とインドネシアの水準は同程度に見える。しかし、経済的な豊かさの目安となる2025年の1人当たり名目GDPには、台湾の約3万9500米ドルに対してインドネシアは約5100米ドルと約7.8倍の開きがある。そのため、円換算した金額が同じであっても現地の人にとっての手頃さには違いが生じる。台湾新幹線では台北駅で買い求めた「台鉄弁当」を車内で味わうなど、市民の日常の足として快適な移動が定着している。

汚職疑惑や長期化する債務返済などインフラ輸出が残した教訓

インドネシアのWhooshを巡っては財務上の問題だけでなく、インドネシアの汚職撲滅委員会(KPK)が土地収用を巡る不正疑惑の予備調査を進めている。国有地が政府に転売され価格が水増しされていた疑いが浮上しているほか、サウスチャイナ・モーニング・ポストの報道によれば政府は債務返済を財務省側に移す準備を進めており、期間80年、年間約1兆ルピアに及ぶ返済案が示されている。日本が2015年の競争入札で金利0.1%の低利な円借款を提示したのに対し、「国家保証を求めない」という条件の中国案を採用した結果として、多額のツケが残る形となった。

イトモス研究所の小倉健一氏が、台湾新幹線とインドネシア高速鉄道の利便性や財務状況の違いをレポート
写真:Yahoo!ファイナンス

今後の事業運営と東南アジアにおけるインフラの行方

台湾新幹線もかつては財務難を経験したものの、2015年には政府系の出資を伴う財務再建を行い、現在は安くて便利で安心な市民の足として定着している。これに対し、習近平政権の「一帯一路」戦略の代表的事業であるWhooshは、移動時間を大きく短縮した一方で、甘い需要予測に基づいた投資計画の代償として巨額の債務や不正疑惑の解明という課題を抱えたまま、運営体制の立て直しを迫られている。

執筆者について: nipponese

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