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2026-03-13 02:15:00
2021年9月、日本初の女子プロサッカーリーグとして開幕した「WEリーグ」。
「女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する」をリーグ理念に掲げ、サッカー事業と社会連携事業の両輪で、幅広い活動を展開している。
Business Insider Japan内のDEIメディア&コミュニティ「MASHING UP(マッシングアップ)」はこのたびWEリーグの理念をともに実現する共創型社会連携パートナー「WE ACTIONパートナー」に就任。WE ACTIONの活動と、そこから生まれる気づきや学びを発信していく。
第1回目のテーマは、WEリーグの社会連携事業「WE ACTION」の全貌。ステークホルダーを巻き込んだ活動内容やWE ACTIONから生まれる社会価値について深掘りする。
「みんなが主人公になるためにプレーする」

WEリーグの正式名称は「Women Empowerment League」。
日本で女子プロサッカー選手という職業が確立され、WEリーグに関わる私たち(WE)一人ひとりが主人公として活躍する社会を目指そうという思いから名付けられた。
WEリーグの髙井康隆さんは、リーグ発足の経緯をこう語る。

「2011年6~7月にドイツで開催されたFIFA女子ワールドカップで日本代表のなでしこジャパンが優勝し、東日本大震災によって暗いムードが漂っていた日本に明るいニュースを届けてくれました。
あの時、多くの人が女子サッカー選手たちの活躍に勇気づけられたと思います。
10年の時を経て2021年、日本の女子サッカーの発展に貢献するとともに、先陣を切って女性活躍社会を推進するためにWEリーグは誕生しました」(髙井さん)
2011年のイングランド、2013年のアメリカに続き、WEリーグは世界で3番目に設立された女子プロサッカーリーグだ。

一方、欧米に比べると、日本ではまだ女子サッカー全体に対する支援の輪が小さいという。その差は一体どこにあるのか。
「欧米で支援が広がっている理由は、単なるスポーツ興行という側面だけではありません。ジェンダー平等への取り組みを背景に、女性プロスポーツが持つ社会的な意義そのものが注目されているからです。
一方、日本のジェンダーギャップ指数は148カ国中118位(2025年)と依然として低く、スポーツ分野の機会の公平性にも課題があります。
小学校までは男子と一緒にサッカーをしていた女子が、中学生になると身体の変化や環境面の課題などを理由にサッカーを辞めてしまうケースは少なくありません」(髙井さん)
こうした状況の中、WEリーグは明確な理念を掲げている。
WEリーガーの行動規範は『みんなが主人公になるためにプレーする』。
「一人ひとりが輝く社会を実現するために、サッカー事業だけでなく社会連携にも力を入れることで、世界一のリーグ価値を生み出したい」と髙井さんは語る。
ステークホルダーと広げるWE ACTIONの輪
WEリーグがサッカー事業との両輪で取り組む社会連携事業の総称が「WE ACTION」だ。
WEリーグに所属する選手、クラブ、パートナー企業をはじめする多様な人々が、リーグの理念を実現するために輪となり、私たちみんな(WE)で起こす行動(ACTION)を指す。
WEリーグの理念推進を担当する梶井風薫さんは、活動の全体像をこう語る。

「WE ACTION は大きく 3 つの取り組みで構成されています。
「まずシーズン初めに、WEリーグ、クラブ、パートナー企業が一堂に会する『WE ACTION MEETING』で課題を共有し、活動アイデアを出し合います。
シーズン中にアクションを起こす場となるのが『WE ACTION DAY』です。クラブやパートナーが連携し、ステークホルダーを巻き込んで各地でさまざまなイベントを実施します。
シーズン最後には『ALL WE ACTION DAY』として 1 年間で実施したWE ACTION DAYを取りまとめて発信します」(梶井さん)
2021年のリーグ開幕以来、選手、クラブ、パートナー企業をはじめ、さまざまな人がWE ACTIONに参画。WE ACTION DAYのイベント実施回数は5年間で延べ90回にも上る。
その内容も一律ではなく、WEリーグの選手がコーチ役となり地域の子どもたちと触れ合うサッカー教室、練習場の土地を活用した食育体験、子どもから高齢者まで幅広い世代がウォーキングフットボールを楽しみながら多様性について学ぶ交流会など、多岐にわたる。

これまではクラブが主体となってイベントを企画・実行することが多かったが、最近ではクラブとパートナー企業が連携し、地域課題にアプローチするイベントを共同でつくり上げる取り組み事例も増えている。

「一つひとつの活動は小さくても、地道に続けて、点と点をつなげることで社会に大きなメッセージを届けられるはず。そして仲間の輪も広がっていくと考えています。
2025年8月に開幕した2025-26シーズンからは『多様性・ジェンダー』『教育・健康』『地域貢献』という3つのテーマを新たに設け、各イベントがどのテーマと関連しているのか、社会にどんなインパクトを与えているのか、社会価値を可視化し、発信することに注力しています」(梶井さん)
「女性活躍」のシーンを発信する意義
WE ACTIONの推進に向け、WEリーグの伴走役を務めているのがKPMGコンサルティングだ。同社は2023年、WEリーグの「ソーシャルインパクトパートナー」に就任。
以来、WEリーグの価値創造ストーリーの策定をはじめ、WE ACTIONの企画・実行支援、さらにはWE ACTIONの社会的価値の可視化まで、WEリーグとともにチャレンジを続けてきた。
KPMGコンサルティングの佐野光一郎さんは、WE ACTIONの背景にある社会課題解決への思いをこう語る。

「女性活躍社会の実現に向けて、男女の社員比率50%、女性の役員比率30%などの目標やルールの設定も大切です。しかし、単に数値目標を落とし込むだけでは限界もあります。何よりも重要なのは、『女性が活躍している場』を生み出していくことです。
WEリーグはそうした場を多く生み出すことのできるプラットフォームです。WE ACTIONでは、選手を中心に多くの女性たちが自ら考え、行動し、活躍しています。
彼女たちが活き活きと輝く姿を発信することが、真の社会変革につながると考えています」(佐野さん)
取り組みを続ける中で、今シーズンからスタートしたのが「社会価値の可視化」だ。
WE ACTIONを通じてどんなステークホルダーに対し、どのような社会価値を生み出しているのか、イベントごとに具体的な数字や金額を算出し、発信を始めている。


それにはどのような意義があるのだろうか。
「日本ではスポーツ分野の社会活動=ボランティアというイメージを持つ方が多いと思います。
しかしサステナブルに活動を続けていくには一部の人による慈善活動ではなく、その活動に価値を感じ、『自分たちも参画したい』と思ってくれる仲間を増やすことが不可欠です。
社会価値の可視化は、WE ACTIONへの共感や納得感を高め、ともに活動を推進する仲間づくりのきっかけになると期待しています。また、イベント実施後の振り返りや企画をブラッシュアップしていく上でも重要な指標になります」(髙井さん)
WE ACTIONの魅力の一つが、普段はピッチで躍動するプロの選手たちと直接触れ合い、気軽にコミュニケーションがとれることだ。
「選手たちは競技もWE ACTIONも全ての活動にモチベーション高く取り組んでいます。
ピッチの中でも外でもWEリーグらしさを発揮し活躍している選手たちの魅力をぜひ知っていただけたら嬉しいです」(梶井さん)

社会を変革するドライバーになる
一人ひとりが輝く社会の実現に向けて、現状にはまだ多くの課題がある。だからこそWEリーグには果たすべき役割があると髙井さんは力を込める。
「言葉や感情で寄り添うことは簡単ですが、本当の意味で社会を変えるには制度やルールを根本から変えていく必要があり、そのためには仲間が必要です。
WEリーグはみんなが輝くためのプラットフォームであり、WE ACTIONを通じて仲間の輪を広げることで、社会を変革するドライバーになれると信じています」(髙井さん)
社会課題や社会価値といった言葉だけを切り取ると難しく感じてしまうが、あらゆる垣根を越えて一緒に楽しむことができるのがスポーツの魅力だ。

「選手たちと触れ合ってワクワクして、それが結果的に社会や地域に良い影響を与えている、そんな流れを生み出していきたい」と髙井さん。
「スポーツが好きな人はもちろん、社会課題に興味がある、でも何から始めればいいか分からないという方にもぜひWEリーグの試合を見に行ってほしいです。
人が集まって場が盛り上がれば、新しいつながりが生まれます。そのつながりの中で、『面白い』『好き』という気持ちが芽生えると、その周辺のことにも興味が湧いて、自分なりに調べたり考えたりするモチベーションになります。
『知る』ことが全ての出発点だと思っています」(佐野さん)
WEリーグは現在、全国各地を拠点に活動する12のクラブで構成され、多くの女子プロサッカー選手が活躍している。
大学時代まで自身も選手としてサッカーを続けてきた梶井さんは、WEリーグの存在についてこう語る。

「私が大学4年生の時にWEリーグが発足して、プロを目指していた同期は大学卒業後、女子プロサッカー選手という職業に就きました。
私は就職の道を選びましたが、もし小学生の時にWEリーグがあったら、自分はどんな未来を描いていただろう、と想像することがあります。
子どもたちにより多くの選択肢を与えられる社会をつくる担い手の一人として、これからもWE ACTIONの活動を続けていきます」(梶井さん)
スポーツを起点に社会価値を創出する試みは、“新しいリーグのかたち”を提示しつつある。

(執筆:星野愛、撮影:佐藤翔)
#なぜ中学生でサッカーを辞めてしまうのかWEリーグが競技の枠を超えて社会変革を掲げる理由 #Business #Insider #Japan