科学&テクノロジー

「NASA、ロボットで危機のスウィフト衛星を救出」

6月 28, 2026 / nipponese
「NASA、ロボットで危機のスウィフト衛星を救出」
NASAは2026年6月30日、高度低下により地球大気圏への再突入の危機に瀕している「ニール・ゲーレルス・スウィフト観測衛星(Neil Gehrels Swift Observatory)」を救済するため、民間企業Katalyst Space Technologiesと共同でロボットによる軌道修正ミッションを開始します。この3,000万ドルの救出作戦は、老朽化した観測機器の寿命を延ばすための史上初の試みとなります。 ## 危機に瀕した「宇宙の第一応答者」 2004年11月に打ち上げられたスウィフト観測衛星は、20年以上にわたり宇宙で発生するガンマ線バーストや高エネルギー現象を観測し続けてきました。その迅速な反応能力から、NASAの科学ミッション部門責任者であるニッキー・フォックス氏は、同衛星を「宇宙の第一応答者」と呼んでいます。しかし、近年の太陽活動の活発化により地球の大気が膨張し、衛星にかかる抵抗が増大したことで、急速に高度を失っています。 NASAの最新の予測によれば、スウィフトは10月までに救出が不可能な高度185マイル(約300キロメートル)を下回る見通しです。NASAの天体物理学部門ディレクターであるショーン・ドマガ・ゴールドマン氏は、この状況について次のように述べています。 「もしスウィフトを再突入させれば、この望遠鏡を失うことになります。我々には、これに代わる新しい望遠鏡を建造する予算がありません」と述べ、救出の重要性を強調しました。ニッキー・フォックス(NASA科学ミッション長) ## ロボットによる史上初の軌道修正計画 NASAは2025年9月、民間スタートアップであるKatalyst Space Technologiesと3,000万ドルの契約を締結し、スウィフトをより高い安定した軌道へ引き上げるためのロボット衛星「LINK」の開発を委託しました。このミッションの特筆すべき点は、スウィフトがもともと修理や回収を想定して設計されていない点にあります。 Katalyst社のCEOであるグンヒ・リー氏は、この挑戦の難しさを次のように振り返っています。 「正直に言わなければなりません。誰もこれが可能だとは思っていませんでした。今日ここまで到達できるとは誰も考えていなかったのです」と語りました。グンヒ・リー(Katalyst Space Technologies CEO) LINK衛星は小型冷蔵庫ほどのサイズで、40フィートの太陽光パネル翼と、レゴのミニフィギュアの手のような形状をした3本のロボットアームを搭載しています。このアームを使用してスウィフトを把持し、数ヶ月かけて現在の高度224マイルから373マイル(約600キロメートル)まで押し上げる計画です。 ## ミッションが示す宇宙産業の新たな可能性 今回のミッションは、単に一つの望遠鏡を救うだけではありません。NASAの天体物理学部門ディレクターのショーン・ドマガ・ゴールドマン氏は、Space.comの報道に対し、「我々は、軌道から外れるものすべてをブーストしなければならないという先例を作りたくはありません。しかし、これは単なる宇宙船ではなく、ユニークな能力を持つ観測所なのです」と語り、今回の救出が特例であることを示唆しました。 一方で、この試みは将来の宇宙開発における重要な「プレイブック(戦術)」になると期待されています。スウィフトの主任研究員であるブラッド・センコ氏は、NASA Scienceの取材に対し、次のように述べています。 「NASAには多くの大型観測機器があり、そのすべてがこのようなサービスから恩恵を受けることができます。我々がこのミッションで証明しているのは、利用可能な新しい選択肢があるということです」と述べました。ブラッド・センコ(NASAゴダード宇宙飛行センター・スウィフト主任研究員) ## 今後の展望とリスク ミッションの成功には保証がなく、関係者は慎重な姿勢を崩していません。LINK衛星は6月30日にマーシャル諸島のクェゼリン環礁から、ノースロップ・グラマン社のペガサスXLロケットで打ち上げられる予定です。成功すれば、スウィフトは2030年代まで観測を継続できる可能性があります。 今回の救出作戦が成功すれば、ハッブル宇宙望遠鏡など、今後高度低下が懸念される他の大型観測機器にとっても、将来の延命措置に向けた道筋が開かれることになります。現在、運用チームはスウィフトの科学観測機器を停止させ、可能な限り空気抵抗を減らす姿勢で飛行を維持しており、9月頃のミッション完了を待つ状況です。 <!

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