NASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡とハッブル宇宙望遠鏡の観測により、天の川銀河のバルジに位置する「Terzan 5」が、従来の球状星団ではなく「バルジ・フォッシル・フラグメント(バルジの化石断片)」と呼ばれる新たな分類に属することが判明しました。この天体には125億年前から25億年前まで、4世代にわたる星形成の歴史が刻まれています。
Terzan 5の再定義:球状星団から「化石断片」へ
この発見は、<a href="https://www.esa.
ウェッブとハッブルが解き明かした4つの星世代
Terzan 5の複雑な正体は、赤外線で塵を見通せるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡と、長期間の観測で星の微細な動きを追跡できるハッブル宇宙望遠鏡の連携によって明らかになりました。研究チームは、これら2つの望遠鏡のデータを組み合わせることで、Terzan 5内に存在する4つの異なる星の世代を特定しました。
- 125億年前:初期の星形成
- 47億年前:第2世代の星形成
- 38億年前:第3世代の星形成
- 25億年前:最新の星形成
「ウェッブの新しい近赤外線観測と、ハッブルのアーカイブ観測をクロスリファレンスしたことで、Terzan 5の歴史がはるかに明確になりました。」
Giorgia Zullo氏(ボローニャ大学)、NASAの発表より
また、同研究チームは、この星系がどのようにして進化してきたかについて、以下のようにも強調しています。
「これらの星の年齢とともに、この星団は超新星爆発による重元素の段階的な蓄積という『化石記録』を保存しています。」
Giorgia Zullo氏、NASAの発表より
銀河形成のタイムカプセルとしての価値
NASA Scienceの解説によれば、Terzan 5は天の川銀河の「卵の黄身」にあたるバルジ領域で、初期の銀河形成の記憶を留める貴重な存在です。2009年には2つの星の集団の存在が確認され、2016年にはハッブルがその年齢を推定していましたが、今回の観測でさらにその歴史が詳細に更新されました。
この天体がなぜこれほどまでに重要な意味を持つのか。それは、この星系が「自己完結型」かつ「自己濃縮型」のシステムだからです。外部からの影響を最小限に抑えつつ、何度も星形成を繰り返してきたこの天体を分析することは、天の川銀河がどのようにして現在の姿になったのかを理解するための鍵となります。
今後、この「化石断片」の調査は、銀河系の中心部がどのように星を供給し、重元素を銀河全体に広めていったのかという、銀河進化論における未解決の問いに対してさらなる洞察を与えることが期待されています。
Find more reporting in our 科学&テクノロジー section.