トランプ大統領は搭乗中の機内で記者団に対し、事態の収拾に向けて交渉が翌日午後から始まる見通しである旨を語っていた。しかし、イラン外務省のイスマイル・バガエイ報道官は、米国との交渉の予定は存在せず、外国使節団の受け入れや国外への交渉団派遣の計画もないと反論している。
和平交渉の開催を巡る米イラン間の食い違い
ロイター通信の取材に応じたイランの高官も、アッバス・アラグチ外相がイラクで宗教的な巡礼を行っており、少なくともその週の終わりまでは対応できない状態であると述べ、交渉の事実を否定した。双方が示す見解の乖離は、2月に開始された軍事作戦以降の対立構図を色濃く反映している。
ホルムズ海峡の支配権と原油市場への波及
今回の対立の核心には、世界の石油取引の重要な動脈であるホルムズ海峡の管理権を巡る争いがある。米国は、6月に合意に達したとされる覚書によってイランに海峡の開放を求めている一方、イラン側は同文書が海峡の船舶通行に関する権限を正式に保持していると主張している。
トランプ大統領の軍事行動差し控えの発表を受け、原油市場では反応が見られた。ブレント原油先物は4%以上下落し、1バレルあたり約84ドル前後で推移した。米国国内のガソリン価格高騰にもつながるエネルギー安全保障上の問題について、政権側は強い警戒感を示し続けている。
湾岸諸国の対応と経済的報復への警告
これに対しトランプ大統領は、イランに対して何らかの生命線を貸す国に対しては大規模な経済的報復を行うと警告を発した。トランプ大統領はソーシャルメディア上で、次のように強調している。

継続する制裁と今後の見通し
1979年のイスラム革命以来、約50年にわたり厳しい経済制裁を受けてきたイランは、さらなる圧力にも屈しない姿勢を示している。最高指導者の顧問を務めるモハンマド・モフベル氏は、対話の門戸は閉ざしていないとしつつも、次のように言明した。
イランは米国との対話には開かれているが、交渉を降伏と混同することはない。軍事的な圧力や制裁によってイランの決意が折れることはない。 モハンマド・モフベル(最高指導者顧問)、ファルス通信の報道より

アナリティクス企業ケプラーのデータによると、中国はイランから出荷される原油の80%以上を購入している。米国が中国のような主要貿易相手国に対して追加的な経済戦争に踏み切った場合、レアアースなどの重要鉱物を巡る報復のリスクも指摘されている。
核開発プログラムやウラン濃縮施設の管理を巡る合意形成の糸口が見えない中、米国とイランの間では外交交渉の再開に関する見解の不一致が続いており、さらなる動向が注視されている。