俳優で映画監督のメル・ギブソン氏が、カナダのトロントで開催された「Fan Expo Canada」において、アメリカ手話(ASL)の通訳者を嘲笑したとされる動画が拡散し、SNS上で激しい批判を浴びています。
イベントでの出来事と拡散した動画
事件が起きたのは土曜日のイベント中でした。モデレーターのリアム・クロウリー氏によって紹介され、ステージに登場したギブソン氏(70)は、聴覚障害を持つ観客に向けて手話をしていた通訳者の背後に立つ形となりました。
拡散された動画やYouTubeに投稿された映像によると、ギブソン氏はクロウリー氏と握手し、対面して座る前に、通訳者の背後で観客に向かって自ら手話のような身振りを披露した様子が映っています。クロウリー氏や会場の観客がその場で即座に反応した様子はありませんでしたが、この映像がSNSで共有されると大きな波紋を呼びました。
SNSでの激しい反発とコミュニティの反応
X(旧Twitter)などのSNSでは、この行為を「卑劣(despicable)」や「不快な人間(gross human being)」と呼ぶ批判が相次ぎました。あるユーザーは、手話というコミュニケーション手段を軽視し、安っぽい笑いを取ろうとしたと指摘し、別のユーザーは「自分の言語が嘲笑されるのを見るのは常に失望させられる」と綴っています。
また、イベント運営のFan Expo Canadaに対し、ギブソン氏を招待したことについて、通訳者および聴覚障害者コミュニティへ心からの謝罪を行うべきだと求める声も上がりました。このユーザーは、ギブソン氏の行動を「能力主義的な差別(ableist)」であり、非常に不適切であると批判しています。
一方で、一部のファンからは「彼は面白いジョークを手話で伝えていただけで、嘲笑していたわけではない」といった擁護の声も上がっています。
過去の論争と現在の活動
今回の騒動を受け、ネット上ではギブソン氏が過去に起こした数々の論争が改めて取り上げられています。

- 反ユダヤ主義的な発言:2006年の飲酒運転による逮捕時に、警察官に対し反ユダヤ主義的な暴言を吐いたことが報じられました。その後、ギブソン氏は自身の行動を「恥ずべきこと」として謝罪しています。
- 人種差別的・暴力的な言動:2010年には、当時の恋人オクサナ・グリゴリエヴァ氏との会話録音が流出し、人種差別的な言葉や脅迫的な発言が含まれていたことが判明しました。
- 家庭内暴力:2011年、グリゴリエヴァ氏に対する軽罪の暴行罪で不認罪(no contest)を認めた経緯があります。
また、1990年代にはウィノナ・ライダー氏から反ユダヤ主義的な言葉で呼ばれたと主張されたほか、1991年にはスペインのメディアに対し同性愛者への差別的なコメントをしたとしてGLAADからホモフォビアであると非難された過去もあります。
今後の展望と本人の対応
ギブソン氏は今回、2027年公開予定の新作映画『The Resurrection of the Christ』の宣伝のためにイベントに出席していました。

本件について、TMZやThe Daily Beastなどのメディアがギブソン氏の代表者にコメントを求めていますが、現時点で回答は得られておらず、ギブソン氏本人からも何ら言及はありません。