2019年6月、当時のドナルド・トランプ米大統領は、イランによる米無人偵察機撃墜を受け、報復攻撃を承認したものの、攻撃の10分前に中止を命じたと公表しました。トランプ氏はその理由として、死者数に関する軍当局の報告を受け、攻撃の釣り合いが取れていないと判断したことを挙げています。
攻撃中止の背景とトランプ氏の判断
2019年6月20日、イラン革命防衛隊は、ホルムズ海峡付近の国際空域を飛行していた米海軍の無人偵察機「RQ-4グローバルホーク」を地対空ミサイルで撃墜しました。これに対し、トランプ政権は軍事的な報復措置を検討しました。トランプ氏は後に、攻撃の準備が整い、標的が選定された段階で、最終的な承認を保留したことを明らかにしました。
トランプ氏は、自身の判断について以下のように説明しています。
攻撃の10分前、私は、もし150人が犠牲になるとしたら、撃墜された無人機に対する報復としては釣り合いが取れていないと尋ねた。軍の将軍は、死者数は150人になるだろうと答えた。私はそれを気に入らなかった。
ドナルド・トランプ、当時の米国大統領
この決定は、中東地域における緊張が極度に高まる中で行われました。トランプ氏は、報復攻撃による人的被害が、無人機の損失という事態に対して過大であると判断し、回避する決断を下しました。
イラン側の主張と国際的な反応
イラン政府は、撃墜した無人機がイランの領空を侵犯していたと主張し、米国の軍事活動を強く非難しました。一方、米国国防総省は、当該機はイランの領土から約34キロメートル離れた国際空域を飛行していたと反論し、イランの行動を「根拠のない攻撃」と規定しました。
この事件は、核合意をめぐる対立や、タンカーへの攻撃事件などが相次ぐ中での出来事であり、偶発的な軍事衝突が全面戦争に発展する懸念が国際社会で高まりました。トランプ氏による攻撃中止の決断は、軍事的な緊張状態を一時的に緩和させる結果となりましたが、両国間の外交関係における根本的な対立は解消されませんでした。
