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2024-03-19 21:45:00
グーグルは今後、YouTube動画を大量ダウンロードする試みを従来以上に徹底的に抑え込もうとするだろう。
すでにこれまでの取り組みの効果は出ており、GitHub(ギットハブ)やReddit(レディット)のコーディングをテーマとするフォーラムでは、YouTube動画を1本ダウンロードするのに数時間かかるようになったとの不満が数年前から上がっている。
いずれにしても、OpenAIは自社開発のAIモデルをトレーニングするのに大量のテキストや画像、動画が必要で、Soraのトレーニングに際しても、どうにかして大量のYouTubeコンテンツをダウンロードしたか、グーグルによる制限をすり抜ける何らかの手法を用いて動画データにアクセスしたとしか考えられない。
OpenAIは「疑問」にどう答えたか
YouTube動画の閲覧や配信などは基本無料で、例えば研究目的で少量をダウンロードするだけなら大きな問題にはなり得ない。しかし、高性能の次世代AIモデルを構築するために何百万本もの動画を利用するとなれば、話は全く別だろう。
その先行事例として、テック専門メディアのインフォメーション(The Information)は昨年6月、OpenAIが「Whisper(ウィスパー)」と呼ばれる音声認識AIモデルのトレーニングにYouTube動画を使用したと報じている。
今回、Business Insider編集部はOpenAIに対し、過去にYouTube動画を大量にダウンロードしたことがあるか、またダウンロードしたコンテンツをAIモデルのトレーニングデータとして使用しているかどうか、回答を求めた。
さらに、YouTube動画の大量ダウンロードに関するグーグルの制限をどう認識・理解しているのかについても、質問を投げてみた。
OpenAIの広報担当からは次のような大枠の回答があった。上記の詳細な質問に対しては、コメントを得られなかった。
「Soraのトレーニングデータには、ライセンスされたソースからのマテリアル(素材)だけでなくインターネット上で公開されているコンテンツも含まれます」
判例法とフェアユースの原則
ジェネレーティブ(生成)AIの急速な台頭により、OpenAIの対話型AI「ChatGPT」やマイクロソフト(Microsoft)の提供するAIアシスタント「Copilot(コパイロット)」などを駆動させるAIモデルのトレーニングに使う高品質なデータを求めて、世界中でし烈な争奪戦が始まっている。
この新たな領域では、何が法的に正しく、何が倫理的であり、何がベストプラクティスであるのか、明確なルールはまだ定まっていない。
グーグルの利用規約に違反する「可能性のある」方法でYouTube動画にアクセスすることは、おそらく「違法」にならない。
長年の積み重ねにより形成された判例法、さらにはフェアユースの原則(批評や報道、研究、調査目的など、一定の要件を満たす場合には、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用しても権利侵害にならない)により、オンライン上のコンテンツをさまざまな方法で自由に利用する権利が確立されているからだ。
グーグルやOpenAIなどのテック企業は現在、AIモデルのトレーニングデータとして著作権で保護されたコンテンツを使用することも(判例法やフェアユースの原則に基づき)合法だと主張している。
しかし、規制当局や裁判所の判断は現時点ではまだ下されていない。
Eコマースの世界では「暗黙の合意」
そのようにグレーな現状があるだけに、AI開発企業はどこも(白黒はっきりする前に)高品質なデータを大量に収集するのに躍起になっているわけだ。
OpenAIの内情に詳しいある人物の証言によれば、同社はトレーニングデータの取得を、他部署から完全に切断された機密データを扱うチームの専業タスクと位置づけており、それゆえに社内でデータの詳細な入手経路を尋ねるのは良しとされていないという。
あるベテランAIリサーチャーは、OpenAIとYouTubeの置かれた現在の状況を、競争ルールが明確に定まっていないもしくはルールが無視されているテック業界の別分野、具体的にはEコマース(電子商取引)分野になぞらえる。
Eコマースの世界では、競合企業のマーケットプレイスに表示されている商品価格データをスクレイピング(自動抽出)する行為が平然と行われている。
厳密には多くの企業が自社の利用規約で禁止している行為だが、自分たちも他社のデータをスクレイピングできるのなら、自分たちのデータがスクレイピングされても目をつぶろうという、一種の「暗黙の合意」に至っている。
なお、オンラインパブリッシャーは現在、米ニューヨーク・タイムズ(The New York Times)によるOpenAIおよびマイクロソフトの提訴に代表されるように、AI開発企業と正面衝突しており、それゆえにコンテンツデータのスクレイピングに関する問題も解決に至っていない。
(※Business Insiderの親会社である独Axel Springerは、傘下のメディアブランドが配信する記事をトレーニングデータとしてOpenAIが利用できるようにする契約を締結している)
OpenAIのCTOは「よく分からない」と…
(従来は単独の非営利研究組織だった)OpenAIを含め、AIモデルの開発企業はかつて研究論文を発表する際にトレーニングデータのソースを開示していたが、競争が激化するにつれ、この慣行はほとんど消失しようとしている。
メタ・プラットフォームズ(Meta Platforms)が最新AIモデル「Llama(ラマ)2」をリリースした際にトレーニングデータのソースを開示しなかったことはその一例と言えるだろう。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)は3月13日、テック分野の人気コラムニスト、ジョアンナ・スターン氏がOpenAIのミラ・ムラティ最高技術責任者(CTO)に単独インタビューした動画を公開した。
米ウォール・ストリート・ジャーナルが公開したインタビュー動画。「OpenAIのSoraが生成した動画に私の胸は高鳴った。そして私は頭に浮かんだ疑問を(ほぼ丸ごと)CTOにぶつけてみた」とのタイトル。
ウォール・ストリート・ジャーナル公式YouTubeチャンネル
スターン氏はこのインタビューで、SoraのトレーニングデータとしてYouTube動画を使用したかどうか率直に尋ねている。
最初の回答は「その点については、実はよく分からないのです」。
再度質問を受けたムラティ氏が口にしたのは「詳細をここでお話しするつもりはありません」との回答だった。
#OpenAIは動画生成モデルSoraの訓練データにYouTubeを使ったのか同社に直接聞いてみた #Business #Insider #Japan



