9月23日に米ニューヨークの国連本部で行われた日米首脳会談をめぐり、内閣広報官の公式Xアカウントが投稿した画像を巡ってインターネット上で物議を醸している。高市早苗首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領の笑顔を並べた写真に白線が引かれ、別々のタイミングの画像を合成した切り取り写真であることが判明した。ネット上では過度な演出や印象操作を懸念する声が相次いでいる。
日米首脳会談で見せた不自然な様子と専門家の分析
9月23日の日米首脳会談では、翌日に控えた米中首脳会談に向けた対中認識の擦り合わせなどが行われた。会談自体について、トランプ大統領は素晴らしい働きをしているとし、首相は歴史に名を残すだろうと賞賛したと報じられている。一方で、インターネット上では会談中の2人のコミュニケーションに着目する声も上がった。
元朝日新聞のジャーナリストで現在はオンラインメディア『Arc Times』代表の尾形聡彦氏は、同メディアのYouTubeライブにおいて、高市首相がトランプ大統領を笑顔で見つめた際、大統領が顔をそむけて下を向いた場面について言及した。尾形氏は、これが両氏の本当の関係を表していると思うとし、このようなトランプ大統領はあまり見たことがないと驚きを語っている。こうした場面から、ネット上では両者の関係を案じる見方も広がっていた。
内閣広報官のX投稿に指摘された不自然な白線と合成
こうした状況のなかで波紋を広げたのが、内閣広報官の公式Xアカウントが9月26日に投稿した写真付きのポストだった。投稿は首脳会談後の電話会談の開始を知らせるものであり、添付された画像には高市首相とトランプ大統領がお互い向き合いながら笑顔を向けている様子が写されていた。文言には、トランプ大統領との日米首脳電話会談が先ほど始まりました、写真は今週ニューヨークでの首脳会談時のもの、と綴られていた。
一見すると通常の写真に見えるものの、画像の中央付近に着目すると白い白線が引かれていることが確認できる。WEBメディアライターの指摘によれば、この画像は高市首相とトランプ大統領を同じカットで捉えたものではなく、それぞれ別のタイミングの2人を切り取って合成した写真だったという。両者の不協和音を囁く声がある中で公開された画像だけに、ネット上では波紋が広がった。
ネット上で相次ぐ印象操作の指摘と広報手法への批判
内閣広報による画像合成が明らかになると、インターネット上では厳しい声が相次いで投稿された。あるユーザーは、すごい印象操作や、わざわざ笑顔で向き合っているかのように捏造する内閣広報官などと批判の声を上げている。さらに、そんな微笑み合う場面はなかったとして、なぜ捏造するのかと疑問視する意見もみられた。
こうした画像に関する批判は、近年の内閣広報費の急増に対する懸念とも結びついている。SNS上では、内閣を広報するのに350億円というのはおかしい、このような嘘っぱちの切り貼りだけの写真のプロパガンダに莫大な額を溶かすのかといった指摘が上がっており、政府の発信手法に対する不信感が強まる要因となっている。
膨れ上がる内閣広報予算と繰り返されてきた発信への批判
全国紙政治部記者の取材によると、高市内閣の内閣広報室は来年度の概算請求予算として、今年度の約7億円から10倍を超える約72億円を要求していることが判明している。さらに、内閣府の政府広報費についても、前年度当初予算の78.8億円から280.5億円へと約3.6倍に増加しており、これらを合わせると約350億円という巨額にのぼる。
これまでも、高市首相が被災地の熊本を訪れた際の様子をBGM入りの動画にしてプロモーションビデオのようだとネット上で批判されるなど、内閣の広報をめぐる発信手法はたびたび問題視されてきた。今回の合成画像に関しても、実際に会談を見た人にとっては両者の良好な関係性を過度に喧伝しているように映ったとみられる。異様な増加を見せる広報費の要求と相まって、政府の広報手腕に対する疑念は今後も尾を引きそうだ。