2015年8月に勃発した山口組分裂抗争の渦中、ライターの鈴木智彦氏が神戸山口組の幹部接触と六代目山口組直参組長からの突然の呼び出しを受けた経緯を明かした。.
山健組の通達草稿を入手した背景
神戸山口組の幹部に接触していた鈴木智彦氏は、最大派閥である山健組の井上邦雄組長が組員に向けて書いた通達の草稿を入手することに成功した。全国の山健組組員に離脱の大義を周知するためのペーパーであり、口頭説明だけでなくペーパーも配る徹底ぶりだった。巨大組織ゆえに地方の組員たちは突然の分裂に戸惑っているとみられ、その動揺を抑える狙いがあった。山口組側やマスコミに漏れることも計算済みのリークであり、暴力団の動きにはすべて明確な意図が隠されていた。
新幹線の車内で読んだ離脱の正当性
翌朝、新幹線で新大阪駅に向かう車内で目を通した通達は、達筆な手書きによる横書きの文書だった。離脱の理由は喧嘩や利権のためではなく、歴代の親分たちが築いた創立100周年の歴史ある三代目当時の山口組を若い世代に残すためだと説明されている。今の六代目体制は組織を私物化しており、本来のヤクザの姿ではないとして、由緒ある元の山口組に戻すための離脱であると強く主張していた。整った定例会の文章とは異なり、ゴツゴツとした無調法な表現からは作為の薄さが感じられた。
途中参加組織への要請と組織内の不満分子
通達の後半部分では、しがらみや恐怖政治によって離脱を決断できない組織の存在に触れている。今後、途中参加する組織があれば歓迎し、協力するよう要請する内容が含まれていた。山口組内には不満分子が多数いると推測され、自分たちの人間関係を通じて相手側を誘える人間がいれば積極的に切り崩すよう促す解釈も成り立った。地方に広がる細かな枝の組織や、突然の分裂劇に揺れる関係者を取り込むための情報戦が水面下で激化していた。
五代目組長をないがしろにした非難と六代目の発言
文書の最後には6項目の箇条書きが並び、山健組出身である渡辺芳則五代目組長をないがしろにした事例への強い非難が記されていた。さらに、お上が暴力団に対して厳しすぎる現状を受け、六代目組長が「(脅しのため)皇居に向かってぶっ放したらいい」と発言したとされる内容も盛り込まれていた。当時の緊迫した組織間の対立や、指導部に対する根深い不満が赤裸々に綴られている。
六代目山口組直参組長からの突然の呼び出し
山健組の通達文を入手して裏付けの取材を進めようとしていた矢先、六代目山口組の直参組長から「大阪に来い」という一本の電話が入った。神戸山口組側が仕掛けた情報戦に対抗し、六代目山口組側も激しい応戦を見せる中で、著者はその大きな渦の中に直接巻き込まれていくことになった。物的な証拠であるペーパーが存在する以上、山口組側にとっても耳の痛い内容への対応が急務となっていた。
直接の接触へ向かう緊迫の現場
呼び出しを受けたことでゆっくりと時間を割く余裕も失われ、なりふり構わず連絡を取る中で文面の写真データが手元に届いた。山健組が発出した通達という強力な物的証拠を基に、山口組側の当事者たちへできる限り直接当てていく構えを見せる。情報戦と心理戦が入り交じる分裂抗争の只中で、双方の組織がどのような反応を示すのかが注目される局面が続いている。