生活道路の法定速度を時速30キロに引き下げる改正道路交通法施行令が2026年9月1日に施行され、約1か月が経過した。国会では運用実態を巡る議論が浮上し、自民党の高見康裕青年局長が一部の道路で規制がそぐわないと指摘したのに対し、葉梨康弘国家公安委員長は適切な規制の実現へ都道府県警を指導する考えを示した。
生活道路の法定速度引き下げと施行からの経過
2026年9月1日、中央線がない住宅街や幅の狭い道路などいわゆる「生活道路」を対象に、法定速度の上限をこれまでの時速60キロから時速30キロへと引き下げる改正道路交通法施行令が施行された。住宅街などでの交通安全を確保し、ドライバーに速度抑制を求める狙いがある。施行から約1か月が経過し、現場での運用実態や交通への影響を巡り国会でも議論の対象となっている。
国会審議で指摘された現場の声と運用への懸念
13日の衆院予算委員会で、自民党の高見康裕青年局長(衆院島根2区)は生活道路の30キロ制限について、「法定速度は交通の安全と円滑を守り、ドライバーや同乗者、歩行者や自転車の方々を守るためにある」と一定の理解を示した。一方で、「特に地方では一律に30キロ制限とすることがこの趣旨にそぐわないのではないかと思われる道路が多数存在する」とサンケイ新聞社(sankei.com)の報道で指摘している。高見氏のもとには、「人通りのほとんどない道路でも30キロにする必要があるのか」「60キロ制限の道路でも30キロで走っている車がある。渋滞を招いている」といった声が連日寄せられているという。また、スクールバスで見送る保護者からも、後ろの車間距離を詰められたり追い抜く車が増えたりして乗り降り時の事故を心配する声が上がっているとし、ドライバー間の共通認識がないまま走る状況の是正を求めた。

国家公安委員長の答弁と警察庁による指導方針
こうした指摘に対し、葉梨康弘国家公安委員長は予算委員会で、「地方においては車道幅員や交通量といった観点から一律30キロの法定速度の適用が実態と合わない道路もあると承知している」と述べた。法律の制定から施行までの2年3カ月の間に、約3600カ所の区域区間において道路標識の設置や中央線を引くなどの方法で速度規制の見直しを行ってきたと説明している。その上で、葉梨氏は「引き続き適切な速度規制が行われるように警察庁を通じて都道府県警察を指導していきたい」と強調した。高見氏は、施行前の2年3カ月間は苦情がなかったものの9月1日以降は毎週のように声が寄せられているとして、改めて地域のニーズを拾い上げて早急に対策を進めるよう求めた(sankei.com)。
物理的な減速設備「ハンプ」などがもたらす効果と課題
生活道路で速度を抑える取り組みは速度規制だけにとどまらず、道路の構造そのものによって減速を促す対策も進められている。くるまのニュースの報道によると、道路に台形状の凸部を設けて速度を低下させる「ハンプ」や、ポールなどで車道を部分的に狭くする「狭さく」、横断歩道を歩道の高さまで盛り上げた「スムース横断歩道」などが導入されている。横浜市緑区の中山町地区などでは、抜け道としてスピードを出して通過する車両や歩行者の渡りにくさを解消するため、こうした設備が実証実験を経て設置された。実際に走行すると、十分な減速をしない場合に車体が大きく揺すられて衝撃が伝わる仕組みになっており、国土交通省のデータ分析でも速度抑制効果が確認されている。ただ、抜け道を利用するドライバーだけでなく沿道住民にとっても負担となる可能性があり、騒音や振動への配慮も含めて地域ごとの合意形成と適した対策の整備が求められている。
今後の速度規制の見直しと現場での対応
生活道路における時速30キロ制限の導入から1か月を経過し、現場では渋滞の発生やドライバー間の認識のズレといった課題が表面化している。高見氏は実態にそぐわない道路を都道府県警察と連携して早急に把握し、必要な場所には時速40キロ、50キロ、60キロといった速度規制標識の設置を進めるべきだと提案した。警察当局が現場の声をどのように反映し、地域の交通実態に合わせた柔軟な速度規制と安全対策のバランスをとっていくのかが今後の焦点となる。