大阪府羽曳野市のグループホーム「みやび」で、介護職員4人が入所者4人に対し、プロレス技をかけるなどの虐待を約2年間にわたり繰り返していたことが分かった。市は高齢者虐待防止法に基づき、施設へ行政指導を行った。
グループホームで常態化した虐待行為
大阪府羽曳野市のグループホーム「みやび」において、介護職員4人が入所者4人に対して虐待を行っていたことが判明した。読売新聞オンラインの報道によると、虐待は2024年頃から常態化していたとみられ、市は職員への聞き取り調査などを経て事態を把握した。施設は4階建てで、虐待が行われていたのは3階で生活する入所者9人の担当エリアだった。市は調査の結果、悪質なケースを虐待と認定している。
プロレス技や衣装の強制など悪質な手口
市が認定した虐待の内容は多岐にわたる。3階の責任者を務めていた男性職員が主導し、別の職員1人とともに70歳代の男性入所者に対してプロレス技の「ヘッドロック」のように頭を締め付けたり、体を逆さまに抱えて持ち上げたりする行為が確認された。また、80歳代の女性入所者にはチアリーダーやピエロの衣装を着せて外出させ、周囲が笑うといった行為も行われていた。さらに、排せつ介助の際に首の上にまたがって押さえつける、便が出ない入所者の腹部を足で押すといった身体的虐待や、暴言、威圧的な言動も明らかになっている。

- 70歳代男性へのプロレス技(ヘッドロック、逆さ吊り)
- 80歳代女性へのチアリーダー・ピエロ衣装の強制
- 80歳代女性の胸を触る行為
- トイレ介助時の首へのまたがり、腹部を足で押す行為
- 日常的な暴言や威圧的な言動
施設運営側の対応と内部通報の経緯
虐待が発覚したのは8月29日、施設内で「虐待と思われる行為が複数みられる」との内部通報があったことがきっかけだった。施設側は9月3日に羽曳野市へ報告し、市は同8日に府警羽曳野署へ通報した。施設を運営する社会福祉法人「ふくふく会」の奥田圭史理事長は、読売新聞の取材に対し虐待の事実を認め、「許しがたい行為であり、家族に謝罪した」と述べている。施設側の内部調査では、他の職員から「注意しても改善されず、それ以上強く言うことが怖かった」という声も上がっており、現場の管理体制が機能していなかった実態が浮かび上がった。
職員の処分と今後の行政対応
施設側は9月に主導的役割を果たした男性責任者を出勤停止処分とし、その後、この職員は退職した。他の関与した職員3人についても現在、施設側で対応を検討している。市は9月24日付で施設に対し、書面による行政指導を実施した。職員らの誤った認識を正し、管理体制を徹底するよう求めている。関与した職員らは、市による聴取に対して「入所者とじゃれ合っていた。ふざけていた」と釈明したが、市はこれを虐待と断定した。
全国で相次ぐ介護施設での虐待問題
厚生労働省のデータによると、2024年度に全国の介護施設で確認された高齢者への虐待は1220件に上り、過去最多を更新した。被害を受けた高齢者は2248人に達している。そのうち今回のようなグループホームでの虐待は181件を占める。今回の事案を受け、羽曳野市は今後、施設への監査を行うことも検討している。認知症の高齢者が家庭的な環境で生活する場であるはずのグループホームにおいて、信頼関係を著しく損なう事態がなぜ長期間放置されたのか、その再発防止策が急務となっている。