米軍は、2009年のフォート・フッド銃撃事件を起こしたニダル・ハサン元陸軍中佐の死刑執行を12月3日にテキサス州で銃殺刑により実施し、その模様を一般向けにライブ配信すると発表した。これに対し、事件の生存者である元米軍兵士が、処刑の公開に反対する意向を表明している。
フォート・フッド銃撃事件の元受刑者と銃殺刑の予定
2009年11月5日、テキサス州のフォート・フッド基地内で発生した銃撃事件により、13人が死亡し32人が負傷した。元陸軍精神科医であったニダル・ハサン元受刑者は、軍法会議で犯行を認め、2013年8月に軍の陪審団から死刑判決を受けた。事件以来、同受刑者はカンザス州のフォート・レブンワース刑務所の死刑囚監房に収監されている。
国防総省による執行ライブ配信の決定と広がる波紋
「私たちは、人びとがそれを見ることができ、それが公開されるように確実にします。なぜなら、人びとはこうした類いのことには重大な結果が伴うのだと理解する必要があるからです」
ピート・ヘグセス国防長官、ポッドキャスト番組内での発言
チーフ・ペンタゴン・スークスマンであるショーン・パーネル氏は、ヘグセス長官が陸軍の銃殺刑による死刑執行を推奨し、ドナルド・トランプ大統領がその決定を承認したと発表した。パーネル氏は、受刑者が「アッラー・アクバル」と叫びながら13人を殺害し32人を負傷させたと指摘している。
しかし、この処刑のライブ配信計画は、法的な問題や連邦議会からの批判を引き起こしている。共和党のトム・ティリス上院議員は死刑判決自体を支持する一方で、処刑の公開には反対の立場をとっている。また、民主党のクリス・マーフィー上院議員およびパティ・マレー上院議員も配信を非難した。さらに、ハサン元受刑者が民間連邦裁判所に審査を申し立てる可能性も残されており、それによって12月3日の執行スケジュールに遅れが生じる懸念もある。
https://x.com/SecArmy/status/2107637981528125857
生存者のアロンゾ・ラングフォード氏が抱く懸念
事件当時に医療処理センターで7発の銃弾を受けながらも生き延びた元米軍軍曹のアロンゾ・ラングフォード氏は、ハサン元受刑者の死刑執行自体は支持しているものの、国防総省が計画している一般向けのライブ配信には強く反対している。ラングフォード氏は、被害者の遺族や生存者が処刑に立ち会うことには賛成の意を示し、自身も現地に赴いて元受刑者に直接目を向けさせたいと望んでいるが、検閲なしの映像が自宅のテレビなどを通じて子どもや一般市民の目に触れることについては疑問を呈している。
「検閲されることなく、全体が一般市民向けに放送されることについて、個人的には賛成できません」
アロンゾ・ラングフォード、BBCのインタビュー
陸軍の既存の規定である「陸軍規則190-55」では、処刑の立ち会い者を軍関係者、選抜されたジャーナリスト、生存した被害者およびその家族に制限している。同規則では、最低2人のメディア立ち会い人を義務付けるとともに、18歳未満の者の立ち会いを禁じている。そのため、今回の一般向けライブ配信の計画は、既存の軍の規則における法的権限や手続きの面で明確な説明がなされていない状態にある。
ラングフォード氏は、キリスト教の信仰が自身の癒やしのために元受刑者を許す助けとなったと述べる一方で、死刑の適用を支持する姿勢は変えていない。全米が注目する歴史的な軍の死刑執行を前に、法的な手続きの正当性と公開の是非をめぐる議論が続いている。