現代人の健康を脅かす深刻な悪習慣として「座りすぎ」が循環器内科医の布施淳氏の著書『アップルウォッチで整える 50代からの「最高のコンディション」』(技術評論社)の一部再編集を通じて指摘された。欧米では座りっぱなしが新たな喫煙習慣に例えられるほど健康リスクとして認知されており、デスクワークや動画視聴で動かない生活が血管事故やがんの発症リスクを高めることが明らかになっている。
現代人の「座りすぎ」がもたらす深刻な健康リスク
現代の50代は人類の歴史の中で最も動かない生活を送っている世代と言える。デスクワークで一日中パソコンに向かい、移動は車や電車、家ではソファで動画配信を見る生活が日常化している。忙しさを理由にジムを避ける傾向があるが、循環器内科医の布施淳氏によると動かないこと自体が病気をつくる積極的な要因になるという。欧米では「Sitting is the new smoking」という言葉が存在し、長時間の座位は喫煙と同じくらい健康に良くないリスクとして広く認知されている。
足のポンプ機能停止と血管事故のメカニズム
運動不足が体に及ぼす悪影響の筆頭は血流の停滞である。人間の体は筋肉を動かすことで全身の血液をポンプのように循環させており、特に足の筋肉は第2の心臓と呼ばれる。しかし歩かない生活はこの補助ポンプを止めてしまい、血液が下半身に滞留して血栓ができやすくなる。それが心肺に流れ込むと大きな負荷になり、動脈硬化を加速させて最終的には心筋梗塞や脳卒中という血管事故を引き起こす原因となる。
糖分消費の低下から引き起こされる糖尿病の恐怖
筋肉は体内で最大の糖分消費工場という側面を持つ。運動しないままでいると、食事で摂取した糖分が消費されずに血液中に溢れかえり、これが糖尿病の入り口となる。高血糖でドロドロになった血液は血管の内壁を傷つけるため、生活習慣病の連鎖を断ち切るためには日常的な筋肉の稼働が不可欠である。さらに近年では、運動不足が大腸がんや乳がんなどの発症リスクを高めることも判明している。
免疫力低下と脳機能に及ぼす悪影響
免疫細胞は血流に乗って体内をパトロールしているため、血流が悪ければ監視の目が届かずにがん細胞の増殖を許してしまう。また、ウォーキングなどのリズム運動はセロトニンなどの神経伝達物質の働きに関わり、気分を安定させる効果がある。動かない生活を続けると脳の働きが鈍り、うつ状態や認知症のリスクが高まることが指摘されており、身体面と精神面の両方で深刻なダメージを受けることになる。

1時間に1回のスタンドがもたらす生活改善
1日1時間ジムで汗を流しても、残りの10時間を座りっぱなしで過ごせば健康効果は相殺されてしまうという研究データが存在する。循環器内科医の布施淳氏が推奨するように、ジム通い以上にまず意識すべきは1時間に1回立ち上がる習慣をつけることである。日常の細かな動作の見直しが、50代からの最高のコンディションを維持するための確実な第一歩となる。