文化庁が2日に発表した2025年度の国語に関する世論調査によると、会社の上司を呼ぶ際に役職名ではなく名字に「さん」をつける人が増えていることが分かった。調査では、手書きの習慣や特定の言葉の受け止め方に関する意識の世代間ギャップも浮き彫りとなっている。
部下の呼び方に表れた変化と若い世代の意識
部下が課長に呼びかける際、望ましい呼び方について尋ねたところ、「課長」と答えた人は62.9%と最も多かった。一方で、名字に「さん」を付けると答えた人は25.5%、「課長さん」は6.4%、その他・無回答は5.2%だった。読売新聞が報じた。過去の調査と比較すると、「名字に「さん」を付ける」を選択した人は1996年度の8.8%、2015年度の16.0%から一貫して増加している。25年度調査では、20歳代の42.5%が「名字に「さん」」を選択しており、若い世代ほどこの呼び方が浸透している実態が明らかになった。文化庁の担当者は、役職ではなく名字に「さん」付けの呼び方を推奨している企業があることが影響しているのではないかとみている。

世代間で大きく異なる「なるはやで」と「ツーカーの」の使用実態
世代間で使用の実態に大きな差がある言葉も複数確認された。可能な限り急いでという意味の「なるはやで」を使うことがあると答えた割合は、全体では33.4%だった。日テレNEWS NNNのデータによると、16〜19歳は74.1%、20歳代は76.4%だったが、30歳代以降は使用率が減り、70歳以上では7.2%にとどまった。反対に、一言で話が通じる気心が知れていることを指す「ツーカーの」は、全体の47.8%が使うと回答した。50歳代以降では過半数に定着しているものの、16〜19歳と20歳代では1割未満となっている。「なるはやで」は若い世代の常用語である一方、高齢層では他人が使うのが気になる割合が高くなる傾向も示された。
慣用句の本来の意味と異なる解釈の広がり
本来の意味とは異なる解釈が定着している慣用句の実態も調査で示された。「ひもとく」については、69.9%が「真相を明らかにする」と捉えており、本来の意味である「関係する書物を読む」と答えた人は13.1%にとどまった。また、「流れにさおさす」についても、傾向に逆らって勢いを失わせる行為をするという、本来の意味とは異なる理解をしていた人が68.9%に上った。言葉の持つ本来の用法と、社会で実際に理解されている意味との乖離が改めて示される結果となった。

今後の国語意識と調査が示す社会の行方
SNSの普及などを背景に言葉を通じたやりとりが増加し、国語への関心が高まる一方で、デジタル化の進展や価値観の変化が言葉遣いや慣用句の理解に影を落としている。今後は、企業における呼び方の変化や世代間の言葉のギャップが、社会生活やコミュニケーションにどのような影響を与えていくのかが注目されるポイントとなる。