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2024-01-16 00:15:00
Melonの創業者の橋本大佑さん(左)は、大手外銀シティグループ出身の元金融パーソン。COOの大串秀夫さんは外資コンサルのアクセンチュア出身。マインドフルネスベンチャーとして、異色の経歴の経営幹部が目を引く(2023年4月撮影)。
撮影:杉本健太郎
人的資本開示が重視される令和時代。「社員のメンタルヘルス支援」を掲げるスタートアップに東京都のインパクト投資ファンドが出資した。
1月16日、法人向けマインドフルネスプログラムを主力事業とするMelon(メロン・東京都港区)が資金調達を発表。プレシリーズAと呼ばれる早期段階の調達で、このラウンドの総額は1.2億円。
注目は、出資者と経営幹部の顔ぶれだ。
出資者には5名のエンジェル投資家に加え、東京都が2023年3月に出資を公表した「ソーシャルインパクト投資ファンド」(正式名称:東京ウェルネスインパクトファンド)が名を連ねる。
また、Melonの創業者や経営幹部は、外銀、外資コンサル出身者らという異色の経営チームであることも興味深い。
謎のスタートアップ・Melonと、東京ウェルネスインパクトファンドの運営事業者の1つマネックスベンチャーズに直撃した。
外銀、アクセンチュア人材が運営する「マインドフルネス」事業

撮影:杉本健太郎
Melonは法人向けマインドフルネスプログラムを主力事業とするスタートアップだ。法人登記によると設立は2019年。
創業者の橋本大佑さんは大手外銀シティグループ出身の元金融パーソン、COOの大串秀夫さんはアクセンチュア出身の外資コンサル経験者という、異色のプロフィールだ。
橋本さん、大串さんともに、多忙を極める外資企業の最前線で働きながら、自分を省みるなかでマインドフルネスに出会った原体験に共通点がある。
国内におけるマインドフルネスの法人需要について、橋本さんはこう語る。
「メンタルヘルスの『ケア』だとされてしまうと、(福利厚生の)コストと思われてしまう。けれど、(本来は)マインドフルネスって、人的資本の活用、生産性、集中力が上がるとか、社内で対話能力が上がるとか、心理的安全性を高めていくためのベースとなるスキルだと考えています」
「メンタルのケアだけではなく、売り上げ・利益に直結するようなスキルセットへの投資という認識も(持たれ始めている)」
Melonの法人プログラム実施実績企業。
撮影:Business Insider Japan
こうしたニーズから、法人向けマインドフルネスプログラムの問い合わせが増えているとする。法人プランの実施実績のある企業は、公開されている企業だけで三井物産、ソニー、KDDI、大塚製薬など、大手が並ぶ。
東京都ファンドの「投資家」目線の評価は

マネックスベンチャーズの和田誠一郎代表。東京ウェルネスインパクトファンドの共同運営を通してMelonへの出資を後押しした。
撮影:Business Insider Japan
都の東京ウェルネスインパクトファンドは、ベンチャーキャピタル(VC)2社が連携して運営している。関係者によると、ファンド規模は2023年12月の取材時点で約40億円規模だ(うち、都が10億円出資)。
Melonへの出資を強力にプッシュしたのは、運営事業者の1社、マネックスベンチャーズだったと、和田誠一郎マネックスベンチャーズ代表が取材で明かした。
昨今注目されはじめた「インパクト投資」は、経済的リターンと社会的リターンの両立を目指す、難しい領域といえる。「社会にとって良いこと」をどうやって持続可能なビジネスとするのか —— これは、VC側から見ても大きな課題だ。

東京都のソーシャルインパクト投資ファンドのスキーム図。
出典:東京都制作企画局資料より
東京ウェルネスインパクトファンドのもう一方のVCは、医療領域に強いキャピタルメディカ・ベンチャーズが担う。その関係から、検討に上りやすいのが「保険」に絡んだ事業だという。
実際、東京ウェルネスインパクトファンドでは、すでに心臓リハビリ用アプリや、AI医療機器開発のスタートアップ2社にも出資を決めている。これらは保険収載(認可され保険治療に使われる)を広義の収益源として狙ったビジネスといえる。
保険収載を狙う場合、どうしても収益化まで時間がかかる。また、都のインパクトファンドとして、「保険収載を狙わないインパクト起業家支援」の道筋も、当然、検討に上る。
そのなかで目に留まったのが、国内ではまだ少ない、マインドフルネス領域を法人向けに展開するMelonだった。
個人向けから法人向けの「ピボット」を評価
Melonの事業面のアプローチにユニークさを感じるのは、「マインドフルネスによって従業員や利用者がどう変わったのか」を、調査(サーベイ)を通して定量化することを重視している点だ。
社員への福利厚生という位置づけから脱し、「マインドフルネスは事業的に意味のあるスキルセットへの投資」だと経営幹部に理解してもらうには、データで把握できるロジカルなレポートは欠かせない。
このビジネス視点は、外銀・外コン出身の経営幹部ならではのこだわりとも言える。
「Melonは創業後のC向け(個人向け)サービスから、B向け(法人向け)にビジネスを大きく変えてきた。それで、ファイナンスに応じた」(マネックスベンチャーズの和田さん)
実際Melonは、2021年後半に渋谷に開設したサロンを、2023年に閉じている。このようにMelonが個人向けビジネスの難しさを知った上で、必然的に法人向けにピボットした経験とビジネスモデルを評価した形だ。
インパクト投資は難しい領域だが、トレース可能な重要KPIも設定している。投資しっぱなしの、いわゆる「垂れ流し」は許されない。
例えばMelonの場合は、当初はプログラムの導入企業数のほか、ヘルスケア支援ツールなどのチャーンレート(解約率)をいかに低く維持するかなどもインパクトファンドとして追っていくことになる。
東京ウェルネスインパクトファンドでは、年1回の「インパクトレポート」の発刊を決めている。今回が初となるレポートは、2023年12月末で1期目の結果を締め切って、2024年度半ばに取りまとめる予定だ。
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