ミャンマー人男性が告発する京極町の農業法人での暴力と過酷な労働環境
Aさんは2026年5月から同法人で働き、同年7月に脱出した後、刑事告訴に踏み切っている。募集時の説明とは大きく異なる低賃金や罰金制度、さらには町議らからの日常的な暴言や暴行が浮き彫りとなった。
「親父」と「白髪」と呼ばれた町議父子による日常的な暴言と暴行
農業を学ぶために約75万円の借金をして来日したAさんは、実質的に法人を仕切っていたとされる京極町議から激しい暴力を受けたと証言している。
町議の通称「親父」と呼ばれる人物から胸ぐらをつかまれて引きずられたほか、胸を正面から蹴られたこともあった。さらに、「白髪」と呼ばれていた町議の次男からのものも含めて、暴言は日常茶飯事として浴びせられていたという。こうした暴力と精神的な追い詰めにより、Aさんは食欲が落ちて体重が減少し、夜中に何度も起きて睡眠不足に陥るなど心身に深刻な不調をきたした。
埃だらけの古民家とネズミが走り回る劣悪な生活実態
来日前に抱いていた日本の綺麗なイメージとは裏腹に、Aさんが提供された生活拠点は古い戸建て住宅だった。長い間誰も住んでいなかったような埃だらけの室内には、前居住者の遺留品がそのまま残されていた。
台所の鍋にはカビの生えた骨のようなものが放置され、ネズミも走り回る環境だったという。風呂場には穴が空いている箇所もあり、1人1室用意された部屋はベッドを置くと壁との間にわずかな隙間しか残らない狭さだった。過酷な労働と相まって、生活環境も労働者の人権を軽視した劣悪なものだったことが分かっている。
月給5万円の実態とチェーンソー破損を理由にした違法な罰金天引き
来日時の募集では毎月約17万円を稼げると聞いていたが、実際の収入は大きくかけ離れていた。
勤務初月である2026年5月の給料は約5万円であり、6月は11万円から4万円を引かれて手取りは7万円となり、7月分にいたっては未払い状態が続いている。引かれた4万円は、作業中に破損したチェーンソーの弁償代とされた。別の同僚が使っており、自身は木を支えていた際に新品ではない古いチェーンソーの刃がまっすぐでなくなったという理由で、高額な負担を強いられる理不尽な罰金制度が運用されていた。
札幌地域労組の団体交渉と姿を見せない当事者町議の責任追及
Aさんの脱出後、札幌ではほかにも6人のミャンマー人男女が保護されている。

札幌地域労組によると、2026年9月18日には同労組と農業法人側との間で2回目の団体交渉が開催された。この交渉の場において、一部の未払い金が支払われるとともに、暴行の一部についても法人側が認めたとされる。しかし、事件の一番の当事者である町議は交渉の場に姿を見せておらず、問題の全容解明と責任追及に向けた道のりは依然として不透明な状況が残されている。
支援者との出会いを経て抱いた心境の変化と今後の焦点
かつては法律を守り技術を教えてくれる憧れの国として日本を見ていたAさんは、一連の暴力を受けて日本人が怖いという恐怖感を抱くに至った。
しかし、北海道を脱出した後に多くの人々から支援を受けたことで、「どこの国にもいい人と悪い人がいるのだろうと思うようになった」と心境の変化を語っている。自分たちを助けてくれる周囲の存在に対しては、深い感謝の意を示している。過酷な被害を乗り越えた労働者たちの救済が進む中、当事者である町議が公の場に現れて説明責任を果たすのかどうか、今後の事態の進展に強い関心が寄せられている。