埼玉県久喜市は5日、44事業の見直し方針を市議会に示した。全体の予算削減効果は5年間で計約90億円に上る。防災公園管理棟の整備や総合運動公園の改修などの大型事業はいずれも延期となり、市側は貯金が3年後に枯渇するとの試算を示して理解を求めたが、議会側は反発している。
防災公園と総合運動公園の大型事業を延期
今回の見直しにより、焦点となった大型事業はいずれも延期された。国の利根川堤防強化事業に合わせ、災害時の一時避難施設として今年度中に整備される予定だった防災公園管理棟の事業が延期され、約5億6000万円の予算削減となる。しかし、既に国の補助金約1億円が決定しており、今後は返還問題が浮上する見通しだ。また、費用約40億円と見込まれていた総合運動公園の改修も、隣接地との調整が残って着手されていなかったことから延期となった。市は管理・運営費などを再検証した上で事業規模を見直す方針で、現時点で廃止まで決めていないとしながらも、今後廃止になる可能性を示唆している。
高齢者支援や女性議会などの事業を廃止
大型事業のほかにも、市民生活に関わる複数の事業が廃止の対象となった。高齢者の運転免許返納を推進するためのバス回数券交付や、女性議会の開催、区長会運営事業の補助金などが廃止された。このほか、別の35事業についても来年度の予算編成に合わせ、さらなる見直しが検討される予定となっている。
中期財政計画の改定と財政調整基金の枯渇見通し
市は今回の事業見直しを反映させた上で、今後5年間の中期財政計画を改定した。事業見直しを行ったにもかかわらず、8月の財政再建宣言時の推計よりも1年早い2029年度末に、市の貯金にあたる財政調整基金が底をつく見通しとなった。来年度予算編成では約62億円の財源不足が見込まれている。これまで建設費を実態の3分の1以下に算定してきた甘い推計方法を改めたことや、来年度に稼働する新ごみ処理施設関連の全体費用が物価高騰などにより当初と比べて計100億円超の増額となったことが影響したと説明している。
市議会からの反発と今後の動向
見直し対象の事業数が40を上回ったことに対し、議会側からは強い反発の声が上がっている。「これまでの議会審議が反映されていない」「今後の議論次第で一部の見直しは変更すべきだ」などの意見が示されており、今後の議会運営や審議の行方は混沌としている。貴志信智市長は報道陣の取材に対し、「市民生活を守る予算を確保するため、苦渋の決断をした。関係者には丁寧に説明したい」と述べ、理解を求めていく姿勢を示した。