プルデンシャル生命の金銭詐取と被害規模
プルデンシャル生命保険が8日に公表した第三者委員会の調査報告書によると、社員らによる金銭詐取問題の被害者は申告ベースで794人、被害額は約61.6億円に上ることが分かった。会社側はこれまで、被害者を625人、被害額を約39億円と公表していたが、今回の調査で規模が拡大したことが明らかになった。不正は1992年から2025年の長期間にわたって続いた可能性があると指摘されている。
営業成績重視の企業風土と不正の構造
調査報告書は、営業成績を過度に重視する価値観が組織内で法令順守の軽視を招いたと分析している。営業社員と顧客の関係が親密になることで取引が「個人化」および「密室化」し、不正の発見を難しくしたと指摘された。過去の不祥事の際にも、ビジネスモデルを見直すタスクフォースが設置されながら局所的な対応にとどまっており、カルチャー変革にまで踏み込んだ改革が必要であったと重く受け止めている。
役員の報酬返納と社内処分の実施状況
経営責任を明確にするため、得丸博充社長ら役員3人は月額報酬の30%を3か月間、自主返納する方針を固めた。関与した社員64人を懲戒解雇や諭旨解雇とするなど、計157人に対する処分も実施された。得丸社長は8日に東京都港区で行われた記者会見の冒頭で頭を下げ、「ご心配とご迷惑をおかけしていることを改めて深くおわび申し上げる。全社を挙げて改革に取り組む」と謝罪した。
フルコミッション制度の見直しと再発防止策
再発防止策として、同社は契約獲得などの営業成績に給与が大きく連動する報酬制度「フルコミッション」を見直す。2027年から最低保証給を導入し、新規契約に伴う報酬の支給期間を4年から7年に延ばして顧客との長期的な関係構築を促す方針だ。さらに、支社を統廃合することで管理監督体制の強化を図り、組織全体の行動変容につなげるとしている。
金融庁による行政処分の方針と今後の対応
金融庁は金銭詐取問題の発生を受け、10月中にも同社に対して3か月程度の一部業務停止命令と業務改善命令を出す方向で調整を進めている。日本の持ち株会社に対しても業務改善命令を出す方針が固められている。得丸社長は記者会見で、新規契約の販売再開のめどについて、まずは被害に遭った顧客への補償完了と不正を起こした社員への処分を優先させると述べ、自粛解除の判断はそれらを行ってから検討する姿勢を示した。