2026年10月の米中間選挙を1か月後に控え、野党民主党を率いるハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は、激戦区での勝利やトランプ大統領の支持基盤への食い込みにより、下院の過半数を奪還できるとの見通しを表明した。
ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務が描く2018年型スィープの再来と過半数奪還のシナリオ
ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は記者団との電話会談で、今回の選挙戦を、トランプ大統領の1期目最中の2018年に民主党が躍進を遂げた選挙になぞらえ、党の勢いに自信を示した。民主党は2026年11月3日の投開票に向け、共和党が多数派を握る下院の奪還を狙っている。
ニューヨーク州出身のジェフリーズ氏は、当時民主党が多数派を奪還した際、獲得した議席の多くがトランプ大統領が制した選挙区にあったことを挙げ、「2026年、我々も同じことを成し遂げる態勢が整っている」と強調した。
下院の勢力図が極めて拮抗している中、早期投票がすでに始まっており、わずか数議席の勝敗がどちらの政党が議会の主導権を握るかを決定づける情勢となっている。民主党のキャンペーン部門は先週末、カンザス州、オクラホマ州、バージニア州、ワシントン州などの選挙区を新たにターゲットリストに追加し、合計66の選挙区を狙っていると発表した。
その多くは2024年の大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利した地域であり、ジェフリーズ氏は保守的な地域に深く食い込み、資金面での不利を克服して議席を奪還できると確信を示している。
9月24日から27日に実施されたクニピアック大学の世論調査では、議会選挙でどちらの政党に投票するかを尋ねる全米投票意向調査で民主党が12ポイントのリードを記録している。ロール・コール紙などが伝えたところによると、ジェフリーズ氏はアリゾナ州、ペンシルベニア州、アイオワ州、ネブラスカ州、ニューヨーク州などの主要な激戦区で勝利を収めることで過半数を獲得し、さらに共和党の地盤にも踏み込んで過半数をさらに拡大する機会を得られるとの見方を示している。

また、共和党主導で行われたテキサス州やフロリダ州などの区割り変更(ゲリマンダー)について、ジェフリーズ氏はヒスパニック系有権者の共和党離れなども影響して一部で裏目になっており、「共和党のゲリマンダー工作は失敗した」と批判している。
共和党側の資金力優位とドナルド・トランプ大統領による選挙戦の展開
これに対し、共和党は選挙戦の最終局面において豊富な資金力を背景に優位に立っている。マイク・ジョンソン下院議長は、共和党の過半数維持を守るためトランプ大統領と足並みを揃え、全米を精力的に駆け巡っている。
ジョンソン氏は先週カリフォルニア州で共和党候補の応援演説を行ったほか、選挙戦の最終週にかけて約20州の40以上の選挙区を訪問する予定となっている。
トランプ大統領もまた、保守的な州を中心に精力的な遊説スケジュールをこなしており、共和党が勝利した場合に有権者へ5,000ドルの現金配当を行う公約を掲げているほか、高齢者のメディケア保険料負担を軽減するための90ドルの支払いを発表するなどして支持層の結集を図っている。

オハイオ州での集会において、トランプ大統領は共和党が予想を覆して勝利すると宣言し、投票を呼びかけた。一方で、ジェフリーズ氏は共和党のこうした動きに対し、「アメリカ国民はMAGA共和党員が売り込もうとしているものを買っていない」と切り捨て、共和党は「失敗し、迷走している」と非難している。
さらに、イランとの戦争に起因する高騰するガソリン価格も共和党にプレッシャーを与えている要因であると指摘されている。
高騰する生活費と立法府におけるトランプ大統領との妥協点模索
連邦議会議事堂の階段で行った記者会見において、ジェフリーズ氏は、住宅コスト、ガソリン価格、住宅ローン保険料、インフレ、医療保険料などが軒並み上昇している現状を指摘し、トランプ大統領と共和党の政策が経済を破壊し、アメリカ国民がその代償を支払わされていると厳しく批判した。
食料品、光熱費、育児費用、医療費などあらゆる生活コストが悪化しているとし、民主党は手頃な価格で暮らせるアメリカを実現するために生活費の引き下げを最優先課題として取り組むと公約している。
もし民主党が下院で過半数を奪還した場合、ジェフリーズ氏が次期下院議長に就任する見通しであるが、大統領府には引き続きドナルド・トランプ氏が2年間在任することになる。そのため、民主党の政権運営や政策実現はトランプ大統領との取引や交渉にかかっている側面がある。

ジェフリーズ氏は、2018年に成立した刑事司法改革法や、夏の間に可決された超党派の住宅関連法案などを例に挙げ、「意味のある成果を国民のために挙げるため、共通の基盤を見出そうと努める」と述べつつも、トランプ大統領との間で妥協点を見出せるかどうかは「今後の見通し次第である」と慎重な姿勢を示している。
党内の進歩派からは「メディケア・フォー・オール」のような党議拘束を伴う法案の推進を求める圧力が高まることが予想される一方で、政権側との対立や調査・弾劾の可能性も含め、ジェフリーズ氏は難しいかじ取りを迫られている。
「我々は何も当然のこととして受け止めるわけにはいかない。」
ハキーム・ジェフリーズ下院院内総務、USAトゥデイのインタビューにて
テキサス州やフロリダ州における区割り変更の行方と民主党の新たなターゲット区
野党民主党は2026年11月3日の投開票に向けた選挙運動を進めている。