ドナルド・トランプ米大統領は、2009年にテキサス州フォートフッドで13人を殺害した元陸軍精神科医ニダル・マリク・ハサン死刑囚の処刑を承認した。国防総省は12月3日に銃殺刑を執行し、その様子をライブ配信する方針を明らかにしたが、国内外から批判が噴出している。
12月3日に予定されるフォートフッド銃殺刑
米陸軍は、かつてフォートフッド(現在はフォート・カバゾス)の医療センターで銃乱射事件を起こしたニダル・マリク・ハサン死刑囚の処刑を、12月3日に実施すると発表した。ハサン死刑囚は2009年11月5日、アフガニスタンへの派遣を控えた兵士らが医療チェックを受けていた処理センターで銃を乱射。妊婦を含む13人を殺害し、32人を負傷させた。この攻撃は、米軍施設に対する史上最悪の銃乱射事件の一つとされる。
https://x.com/HillaryClinton/status/2108558155965747628
当時の捜査では、ハサン死刑囚が「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫びながら発砲したとの証言がある。事件後、警察官との交戦により負傷したハサン死刑囚は腰から下が不随となり、現在は車椅子生活を送っている。軍事裁判では、軍の司法コードに「テロリズム」の定義がないため「職場暴力」として起訴されたが、検察側は一貫して死刑を求刑してきた。
今回の処刑は、米軍において1961年以来となる執行であり、銃殺刑としては第二次世界大戦後初となる。国防長官ピート・ヘグセス氏は、この執行を「公開」のものにすると明言しており、国防総省はインターネットを通じたライブ配信を行う計画を確定させた。ヘグセス氏は、この決定について次のように述べている。
「国民がこれを見ることができるようにし、公開の場にする」 ピート・ヘグセス、国防長官
国防総省のショーン・パーネル報道官は、SNS上で「ハサンの審判の日がついに来た」と投稿した。アダム・テレ陸軍長官が執行の日時と場所を正式に決定する権限を持っており、12月3日午後1時(中部標準時)の執行が予定されている。

国内外から相次ぐ「野蛮」との批判
ヘグセス氏が主導した「処刑のライブ配信」という異例の決定に対し、国内外から激しい反発が起きている。批判的な人々は、この計画を「野蛮な」行為と呼び、イランやタリバン統治下ののアフガニスタンといった独裁政権による公開処刑を引き合いに出して非難している。一部の保守派からも、処刑をエンターテインメント化することへの懸念が表明されている。
連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー委員長は、この件について「放送ではなくライブ配信であるため、FCCが関与する役割はないと考えている」と述べる一方、ヘグセス氏の判断を信頼すると表明した。また、ポール・S・コークリー大司教(全米カトリック司教会議議長)をはじめとする宗教指導者からも反対の声が上がっている。
処刑方法とライブ配信の法的・倫理的議論
米陸軍の矯正システム規定では、18歳未満の者は処刑の証人となることを禁じている。過去にはメディアが処刑の記録を求めて提訴した事例もあるが、連邦裁判官は収監者への影響を考慮し、その要求を退けてきた。トランプ政権は、死刑執行の選択肢として銃殺刑のほか、電気椅子やガスによる窒息死も追加しており、今回の執行は今後の米国の死刑制度のあり方に大きな影響を与える可能性がある。